海外短信

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No.657 2018年5月

三菱電機 米国インガソル・ランドと合弁会社設立で合意
米国でのダクトレス空調機の販売を拡大

三菱電機と米国インガソル・ランドは合弁会社を設立することで合意した。出資は折半とし、今後世界各国で独占禁止法の審査を受ける。本合弁会社はダクトレスVRF空調機をインガソル・ランドのトレーンとアメリカン・スタンダードの業務用と住宅用流通網と三菱電機の従来の代理店を通じて、米国や中南米の一部の国々で販売する。
インガソル・ランドの執行副社長であるデーブ・レグナリー氏は「これは二つの高級ブランドを結び付けたものだ。このユニークな価値提案は、トレーンとアメリカン・スタンダードが米国で持っている広範な販売知識と三菱電機が持っているダクトレスの商品開発力や技術的知識を組み合わせるものだ」と述べている。
三菱電機米国クーリング&ヒーティングの上級副社長であるマーク・クンツ氏は「どちらも単なる製品供給の契約は望んでいなかった。我々はライバルであるという考え方を持つこともできる。しかし合弁会社として構築することにより、両社は利益のもとを一致させ、長期的な成長を期待することができる」と述べた。
新合弁会社は2018年上半期に稼働する予定。最高経営責任者(CEO)は三菱電機から、最高財務責任者(CFO)はインガソル・ランドから選出される。


写真1:合弁会社 三菱電機と米国インガソル・ランドは
ダクトレス空調機を販売する出資比率50-50の合弁会社を設立する
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News February 5, 2018〕


ダイキン インドで製造技術における人材を育成 
「ものづくり技能移転推進プログラム」に参画

 2016年日本とインドは「日本式ものづくり学校(JIM)」をインドに設立する覚書に署名した。日本からインドにものづくり技能を移転することを目的としている。
 日本の民間企業の第一陣としてダイキンエアコンディショニングインドなど4社が参画した。同社はこれまでに同社近郊のニムラナにJIMの敷地として2万㎡の区画を整備し、経済産業者からJIMの教育機関としての認定を得た。
 ダイキンインドでのJIMの最初のひと組目は30名すべて女性の訓練生であり、2年間のコースを開始した。授業は768時間となる予定で、講義とオンザジョブトレーニングを組み合わせたものとなっている。日本の製造現場における規律と技能を教え、学科には英語、数学、製図、生産技術のほかに空気調和が含まれている。教育訓練を終えたのち、生徒はいずれの企業でも自由に就職できることになっている。



写真2:経済産業省よりJIMとして認定された企業4社
 (左から一人目 ダイキン専務執行役員 林 由紀夫)
〔JARN, February 25, 2018〕



スペイン空調機器メーカー協会(AFEC)‘ヒートポンプ普及計画’を2018年も継続


スペイン空調機器メーカー協会(AFEC)は2年前にスタートしたヒートポンプ普及計画を2018年も継続する。この計画はAFECとキャリア、ダイキン、ジョンソンコントロール-日立、三菱重工、パナソニック、東芝、トレーンなど会員企業23社が共同して実施する。
計画の主要な目的は、再生可能エネルギーを熱源として効率的に暖房、冷房、給湯を行うことができるヒートポンプのメリットを説明することにある。ヒートポンプ技術はCO2の排出削減に貢献してことを強調する。
AFECは2018年の活動の初めとして1月23日にマドリッド機械学会でヒートポンプ技術についてのプレゼンテーションを行った。AFECのピラール・ブディ事務局長が‘ゼロカーボン方針に貢献するヒートポンプ技術’と題して普及計画での活動を紹介した。次にマヌエル・レロ副事務局長がヒートポンプ機器の技術的な側面と実例を述べた。AFECチームはこれから数か月間にスペイン各地でプレゼンテーションを行う予定になっている。
〔JARN, March 25, 2018〕


米国控訴裁判所 “EPAによるHFC規制は無効”の判決見直しを求めたハネウェルの請願を却下。
しかし圧縮機、空調機メーカーはこれに影響されず低GWP冷媒への転換を図る 

米国のコロンビア特別区巡回控訴裁判所のブレット・カバノー判事は2018年1月27日、ハネウェル、ケマー―ズおよび環境保護団体である国家資源防衛会議(NRDC)による控訴裁判所の2017年8月8日判決の見直しを求めた請願を却下した。これは2017年8月8日に冷媒メーカーであるアルケマとメキシケムがEPAによるHFC規制は不当として差し止めを求めた裁判で、裁判所は2-1で大気浄化法セクション612のもとでEPAはHFCを規制することはできないとして、アルケマとメキシケムの勝訴、EPAの敗訴を申し渡していたもの。ハネウェル他はこの判決の見直しを求めていたが、控訴裁判所は判決を支持し、請願は却下された。これによりHFCは規制を受けない状態が継続されることになった。
今回の判決によりHFCが法的には米国で当初の予想よりやや長く使用されることになるが、影響はその程度であり、米国の圧縮機メーカーや空調機器メーカーは国際的な競争力を維持する観点から低GWP冷媒への転換を促進させるものとみられている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News February 12, 2018およびMarch 26, 2018〕


中国 微燃性冷媒の使用基準を緩和 高GWP冷媒から 低GWP冷媒への転換を促す


 中国標準化管理局(SAC)は2017年12月29日に「GB/T 9237-2017:冷凍システムおよびヒートポンプ-安全および環境要件」を発行した。2018年7月1日から適用される。GB/T 9237-2017はGB 9237-2001を改訂したもので、強制規制から自主規制へと変更されている。また国際標準ISO 5149:2014を取り入れている。
 ISO 5149:2014が発行されたことにより中国標準化管理局の冷凍および空気調和機器についての国家技術委員会238(SAC/TC238)はGB/T 9237-2017を改訂するための事前作業を開始した。標準改訂作業グループと業界の専門家が共同して作業に当たり、改訂案を作成し、パブリックコメントの募集、検証を経て最終的な承認を得た。
 GB/T 9237-2017は可燃性冷媒の使用基準を規定しており、ゼロODPで低GWPである環境に適した冷媒の販売と普及についての根拠基準となっている。企業は新たに発行されたこの基準を熟知することにより、R410Aのような高GWP冷媒からR32など微燃性であるがGWPが低い冷媒への移行を期待されている。
〔JARN, February 25, 2018〕

以上
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