ヒートポンプの実用性能向上と技術展望に関する出版について
日本冷凍空調工業会におけるヒートポンプの実用性能向上と技術展望に関する検討結果が、このたび、"「ヒートポンプ」の実用性能と可能性"と題して図書として刊行されました。
本書は、冷凍空調機器業界における第一線の技術専門家によるヒートポンプの理論的根拠に基づく性能向上の可能性に関する考察に基づくものであり、ヒートポンプ技術に携わる方々にとって必ずや良きご参考となりますことを確信いたしております。
- 目的・趣旨
日本冷凍空調工業会におきましては、エネルギー・環境問題の解決に大きな貢献が期待されているヒートポンプについて、その正しい理解を広め、普及拡大を支援するため、ヒートポンプ技術に関する検討を進めてまいりました。本検討は、あくまでもヒートポンプの普及拡大の支援をするという立場から、ヒートポンプの理論的根拠に基づく性能向上の可能性に関する考察を行うとともに、検討結果を専門的学術論文のみならず正確で分かりやすい解説記事などで国内各層に普及させようとするものです。 - 検討結果と情報発信
平成21年9月から予備的検討を行い、22年3月、検討のためのワーキンググループ(WG)を設置しました。このWGでは、熱機関などに関して専門的な知識を有し、現実的な設計・製造分野でその実現可能性を評価し得る業界内の第一線の技術専門家の参加を得て検討を進め、このたび、その結果がまとまったものです。
検討においては、エアコンとヒートポンプ給湯機を例として取り上げ、ヒートポンプの特性を端的に表す指標であるCOP(成績係数)について考察を行いました。ここでは、逆カルノーサイクルによる理想的な(現実には存在しない)COPに比べ、現実の商品としてのヒートポンプのCOPは小さなものとなることが示されています。これは、冷媒の熱力学物性、ヒートポンプの機能が単なる熱の汲み上げではなくその熱の利用であることから、低温部、高温部それぞれにおける熱輸送のため動力が必要になること、設置される建物などの構造・寸法などの技術以外の要因が装置の設計上の制約となることなどの様々な要因により制約を受けたことによるものです。
こうした検討結果について、図書としての刊行を含め、次のような情報発信を行ってまいります。
- 図書としての出版
日刊工業新聞社から、平成22年11月25日、"「ヒートポンプ」の実用性能と可能性"と題して刊行しました。 - 神戸シンポジウムにおける発表
平成22年12月2日~3日に開催された「環境と新冷媒国際シンポジウム2010」(神戸シンポジウム)において「ヒートポンプ性能に関する考察」と題して発表しました。 - セミナーの開催
この図書の出版を機に、平成23年2月22日セミナー「ヒートポンプの実用性能の可能性と将来展望」を開催しました。
参考
「ヒートポンプ」の実用性能と可能性"の概要
本書の概要
- 書名 「ヒートポンプ」の実用性能と可能性
- 発行日 平成22年11月25日
- 出版社 日刊工業新聞社
- ISBNコード ISBN978-4-526-06566-8
- 価格 2,100円(消費税込み)
本書の構成はじめに
第1章 冷凍と空調の歴史
第2章 ヒートポンプとは第3章 ヒートポンプサイクルの熱力学的限界
第4章 実用機器の効率限界と将来展望(対象:エアコン)
第5章 実用機器の効率限界と将来展望(対象:ヒートポンプ給湯機)第6章 ヒートポンプの消費動力量と効率のまとめ
第7章 代表的な機器の効率の推移と展望
第8章 種々の形式のヒートポンプ(用途と効率)
第9章 これからのヒートポンプ
おわりに