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第4章 セントラル空調機器のしくみ |
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4.1 一次側熱源機について |
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セントラル空調方式における一次側熱源機には次のような機器があります
(1) ウオータチリングユニット
ウオータチリングユニットは,メーカにより,チラーユニットとかチリングユニットとも呼ばれています。
ウオータチリングユニットは,冷凍サイクル(圧縮機,凝縮器,膨張弁,蒸発器)をすべてコンパクトにまとめており,冷水または温水を作り,この冷水または温水をポンプを介して二次側空調機
へ送ります。
ウオータチリングユニットには,冷水だけを作る冷却専用形と季節により冷水と温水を作り分けるヒートポンプ式の冷却加熱兼用形があります。
また,凝縮器の構造から,空冷式と水冷式があります。
最近では空冷ヒートポンプ式が多くなっています。
ウオータチリングユニットの外観の例を図4.2に示します。
図4.2 ウオータチリングユニットの外観例(空冷ヒートポンプ式)
(2) 遠心式冷凍機
遠心式冷凍機は,通常ターボ冷凍機と呼ばれ,主として80冷凍トン程度以上の大形冷凍機や空調用として使われます。
遠心式冷凍機の圧縮機の構造は,ちょうど水ポンプと同じような構造をしており,インペラと呼ばれる回転翼に生ずる遠心力を利用して冷媒ガスを圧縮します。
図4.3 遠心式冷凍機の外観例
(3) 吸収式冷温水機
密閉した容器の中に,片側に水が通る配管を設け,一方に吸湿剤を入れておきます。つぎにこの容器の中の空気を抜いて真空にし,水配管の外側に水を滴下させると,配管内の水から気化熱を奪いながら蒸発(これを冷媒蒸気といいます)し,一方の吸湿材に吸収されます。この原理を応用したものが吸収式冷温水機です。この気化した冷媒蒸気は,すぐに乾燥剤に吸収されるため密閉された容器内は真空に保たれます。しかし,吸湿剤では水分の吸収能力が少なく,すぐに真空が維持できなくなります。
したがって,冷水を連続して作るために,吸湿剤として液体の臭化リチウム溶液等を用い,吸湿能力を再生して循環させます。原理図(図4.4)で示す再生器と吸収器を臭化リチウムが循環し,蒸発器,吸収器を水が流れます。
図4.4 吸収式の原理
吸収式冷温水機は,加熱源を再生器に供給して吸収冷凍サイクルを構成し,冷水及び温水を作り供給します。燃焼設備を有するものを直焚き吸収式冷温水発生機といいます。
吸収式冷温水発生機の外観と構造の例を図4.5,4.6に示します。
図4.5 吸収式冷温水発生機の外観例 |
図4.6 吸収式冷温水発生機の構造例 |
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(4) ボイラー
ボイラーには,蒸発熱量が3,000t/hを超える火力発電用から,蒸発熱量が20kg/h程度の家庭用ボイラーや湯沸し器まであります。このうち温水ボイラーと蒸気ボイラーが空調用に使用されます。
ボイラーから供給される熱媒体は,温水や蒸気等があります。この温水や蒸気を作るためにボイラーは,バーナ・熱交換器・温水を一時貯めておく貯湯槽と制御機器で構成されています。
温水等を作るために熱交換器をバーナで加熱しますが,過熱の熱源としては通常,天然ガス,灯油やA重油が使われます。図4.7に煙管式ボイラーの構造例を示します。
図4.7 煙管式ボイラー
(5) 冷却塔(クーリングタワー)
冷却塔は,水冷式エアコン・水冷式冷凍機・遠心式冷凍機等の凝縮器用冷却水や工業用の冷却水の冷却に使われます。業務用エアコン等は大気の汚れなどから現在はほとんどが空冷式の凝縮器に変わっています。
冷却塔の冷却の原理は,水の蒸発潜熱を利用して水を冷却させるものです。
図4.8,4.9に冷却塔の構造の例を示します。
図4.8 冷却塔外観・構造例(丸型タワー) |
図4.9 冷却塔外観・構造例(角型タワー) |
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