燃焼性を有する冷媒の安全性評価プロジェクト
2011年から当工業会及び関係団体で検討を進めている、燃焼性を有する冷媒を使用した冷凍空調機器のリスク評価及び安全基準等の策定に関する活動を、次の通りまとめました。
1.フロン類に関わる国内外の規制状況
2.微燃性(A2L)冷媒の安全利用に関するリスクアセスメントプロジェクト概要
2.1.A2L冷媒使用機器のリスク評価
A2L冷媒リスク評価結果を簡単にまとめた文書は、下記からダウンロード可能。
2.2.製品別のリスク等検討結果
各製品での検討結果を最終報告書としてまとめ、順次公開していく。
①微燃性冷媒を使用したチラーのリスク評価報告書
②微燃性冷媒を使用したビル用マルチエアコンのリスク評価報告書
本文〈付録〉
③微燃性冷媒を使用したスプリットエアコン(店舗用パッケージ)のリスク評価報告書
④微燃性冷媒を使用した低温機器のリスク評価報告書
⑤微燃性冷媒を使用したGHPのリスク評価報告書
⑥微燃性冷媒を使用した設備用エアコンのリスク評価報告書
・附属書C:スポットエアコン以外(一体型)リスクアセスメント検討
・附属書D:スポットエアコン(一体型)リスクアセスメント検討
・附属書E:スポットエアコン(セパレート型)リスクアセスメント検討
※記載内容について個別の質問には回答できません。
2.3.A2L冷媒使用機器の安全基準・ガイドライン
リスク評価結果を踏まえ、A2L冷媒使用機器の安全基準及びガイドラインを作成した(図9)。
図9- A2L冷媒使用機器安全基準・ガイドライン一覧
番号 | 規格番号 | 名称 | 対象機種 | 適用範囲 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | JRA GL-20 | 特定不活性ガスを使用した冷媒設備の冷媒ガスが漏えいしたときの燃焼を防止するための適切な措置 | 特定不活性ガス使用 冷凍設備 |
5~20トン | |
2 | JRA 1001 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した機器の規格及びガイドラインに適用できる冷媒の判定基準及び物性値 | 番号5~10のJRA規格 ガイドライン |
||
3 | JRA 4068 | 冷凍空調機器に関する冷媒漏えい検知警報器要求事項 | 定置式検知警報器 | ||
4 | JRA GL-15 | 微燃性(A2L)冷媒を使用したチラーの冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン | チラー | 7.5 kW~ | |
5 | JRA 4070 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した業務用エアコンの冷媒漏えい時の安全機能要求事項 | ビル用マルチ 店舗PAC |
3~20トン | |
6 | JRA GL-16 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した業務用エアコンの冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン | ビル用マルチ 店舗PAC |
3~20トン | |
7 | JRA 4072 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した低温機器の冷媒漏えい時の安全機能要求事項 | 低温機器 | 3~20トン | |
8 | JRA GL-18 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した低温機器の冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン | 低温機器 | 3~20トン | |
9 | JRA 4073 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した設備用エアコンの冷媒漏えい時の安全機能要求事項 | 設備用PAC | ~20トン | |
10 | JRA GL-19 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した設備用エアコンの冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン | 設備用PAC | ~20トン |
*上記規格のご購入はこちらから
会員様は無償ダウンロードが可能です。
*JRA GL-20は、「ファストトラック制度」の活用第一号案件となり、冷凍則第十五条第一項第二号の例示基準相当の規格として承認され、その後、冷凍則関係例示基準17の2で引用されました。 詳細はこちらをご覧ください。
https://www.jraia.or.jp/outline/refrigerant/lg-20.html
*JRA 1001が適用する冷媒物性表の最新版(2022 年 12 月 5 日に更新)は、こちらから無償ダウンロードが可能です。
https://www.jraia.or.jp/outline/refrigerant/research/table_of_physical_property.html
高圧ガス保安法 一般高圧ガス保安規則及び冷凍保安規則の改正概要、及びA2L冷媒使用機器の安全基準及びガイドラインの概要説明資料を以下に公開する。
- 高圧ガス保安法改正の概要(一般則など)
- 冷凍保安規則改正の概要とこれに対応する日冷工ガイドライン及び規格(JRA GL-20)
- 微燃性冷媒を使用した冷凍空調機に関する冷媒漏えい検知警報器の規格(JRA 4068)
- 微燃性冷媒を使用した業務用エアコンの安全ガイドライン及び規格(JRA 4070, JRA GL-16)
- 微燃性冷媒を使用した設備用エアコンの安全ガイドライン及び規格(JRA 4073, JRA GL-19)
- 微燃性冷媒を使用したチラーの安全ガイドライン及び規格(JRA GL-15)
- 微燃性冷媒を使用した低温機器の安全ガイドライン及び規格(JRA 4072,JRA GL-18)
2.5.微燃性冷媒リスク評価及び安全基準検討関係者
これまで進めてきた微燃性冷媒リスク評価及び安全基準検討活動については、その活動が認められいくつかの賞を受賞した。この活動にかかわった組織及び委員リストを以下に公開する。
【受賞歴】
第19回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞 経済産業大臣賞
日本冷凍空調学会 平成28年度学術賞
日本冷凍空調工業会 平成28年度特別表彰
3.強燃性(A3)冷媒の安全利用に関するリスクアセスメントプロジェクト概要
IEC60335シリーズ(家庭用及び類似用途の電気機器の安全性基準)の内、エアコン(IEC60335-2-40)や業務用低温機器(IEC60335-2-89)では、可燃性冷媒を使用する場合の規定が既に存在しているが、年々緩和の方向で議論が進められている。こうした中、家庭用エアコン及び内蔵形冷凍冷蔵機器(内蔵ショーケースなど)については、A2L冷媒と同様の手法でA3冷媒のリスク評価と安全対策検討を行う方向とし、2016度に2つのリスク評価検討組織を設置して、議論を進めている。
3.1 次世代冷媒・冷凍空調技術の基本性能・最適化・評価手法および安全性・リスク評価
A3冷媒についてもA2L冷媒と同様な体制で、2018年より、新たなNEDO事業研究“次世代冷媒・冷凍空調技術の基本性能・最適化・評価手法および安全性・リスク評価”(事業受託先:公益社団法人日本冷凍空調学会(JSRAE))がスタートし、産官学で協力するための組織が設置された。
このNEDOプロジェクトは東京大学の飛原英治名誉教授がプロジェクトリーダー、日本冷凍空調学会調査委員会では東京海洋大学の井上教授が委員長という組織が設置され、A3冷媒の安全評価は調査委員会“WGⅡ ”として位置づけて検討が進められている(図10)。
当工業会ではA2L冷媒と同様の手法により、A3冷媒を使用した「ミニスプリットエアコン(ルームエアコン)」及び「内蔵形冷凍冷蔵機器」のリスクアセスメント及び安全担保のための規格ガイドラインなどの検討を行うために、上記NEDOプロジェクトと連携している。
JSRAEでは、毎年度の検討成果をプログレスレポートしてまとめ、ホームページで公開している。
3.3 製品別のリスク等検討結果
各製品での検討結果を最終報告書としてまとめ、順次公開していく。
①可燃性冷媒を使用した内蔵ショーケースのリスク評価報告書
- 可燃性冷媒を使用した内蔵ショーケースのリスク評価報告書(本文)
- 附属書A_可燃性冷媒を使用した内蔵ショーケースのFTA及び確率数値割付表
- 附属書B_可燃性冷媒を使用した冷機応用製品のリスク評価報告書
- 附属書C_可燃性冷媒を使用した冷機応用製品のFTA及び確率数値割付表
図11 -強燃性 (A3) 冷媒 関連使用機器安全基準・ガイドライン一覧
番号 | 規格番号 | 名称 | 対象機種 | 適用範囲 |
---|---|---|---|---|
1 | JRA 4078 | 可燃性冷媒を使用した内蔵形冷凍冷蔵機器の冷媒漏えい時の安全機能要求事項 | 内蔵ショーケース、 業務用冷凍冷蔵機器 |
~3トン |
2 | JRA GL-21 | 可燃性冷媒を使用した内蔵形冷凍冷蔵機器の冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン | ||
3 | JRA GL-25 | 可燃性冷媒を使用した内蔵形冷凍冷蔵機器の廃棄時の安全確保のためのガイドライン | ||
4 | JRA 4084 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した内蔵形冷凍冷蔵機器の冷媒漏えい時の安全機能要求事項 | ||
5 | JRA GL-23 | 微燃性(A2L)冷媒を使用した内蔵形冷凍冷蔵機器の冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン |
注)JRA 4084とJRA GL-23は微燃性(A2L)冷媒に対する規格であるが、JRA 1001及びJRA GL-20とは無関係のものであるため、図9ではなく図11に記載した。