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No.659 2018年9月
F-ガス クエスチョン・タイム
“冷媒の漏えい防止とリサイクルが高く評価される新たな時代”
冷凍空調業界は、HFCの割当量の削減と冷媒在庫の縮小という要求を満たすために、使用する冷媒がより高く評価される新たな時代を受け入れる必要がある。これがF-ガス・クエスチョン・タイムでの重要なメッセージのひとつであった。
この新たなカルチャーでは、設備業者とエンドユーザーが一緒になって冷媒の漏えいを封じ込める努力しなければならない。また同時に、現在行われているよりも大きな量のリサイクルおよび回収方法を見つける必要がある。
◆ 冷媒の漏えい防止
設備業者であるスペース・エンジニアリングの執行役員マーク・ウッズ氏は聴衆に次のように述べた。「現在のシステムの冷媒が徐々に不足し、より高価になるにつれて、我々は1kgまですべての冷媒を装置に封じ込め、これまで以上に漏えい防止に努力する必要がある」
協同組合の技術標準と設計のマネージャーであるアドリアン・クラウザー氏は、封じ込めを改善するために業界の努力が必要なことに同意し、「公平にいえば、私たちはすべて責任の一端を負っている。歴史的にエンドユーザーは封じ込めがそれほど上手ではなかった。加えて、非常に多くの企業が投資をおこなっていない。老朽化した設備がかなりある。また設備業者も常に完璧な施工をしてきたとは言い難い。設備業者の側にも問題はある」と語った。彼は冷凍装置での現在の漏えい量は思っていたよりも大きい可能性があると付け加え、「漏えい量の正確な記録は改善が必要だ。これが本当の漏えい量を隠しているかもしれない」と述べた。
基調講演でコンサルタントのレイ・グラックマン氏もまた冷媒の封じ込めの必要性を強調した。「商業用冷凍装置での漏れを減らすことができれば、冷媒市場で大きく需要が減少する」と述べた。
◆ 冷媒の回収と再生の促進
講演者は冷媒の再生にもっと注力しなければならないことに同意した。これはHFCの段階的削減に対する業界としての対応の重要な部分である。特に2021年にはHFCの割当量が大きく減少する。
ダイキンの法律専門家であるグラハム・ライト氏は、冷媒がシステムから排出された後、廃棄されてしまうのは大きな問題であり、これを回避するために新たなパートナーシップの締結が必要であると主張した。ライト氏はサービスとメンテナンスで年間に使用されるR410Aの約65%が廃棄されているというダイキンの調査を引用した。
ライト氏は次のように述べた。「すべての手を尽くして冷媒を回収すべきだ。私たちにはもうそれだけの量を無駄にする余裕はない。これが私のメッセージだ」
同氏はシステムから回収された冷媒とは別に、調査によると空調システムが廃棄される際に、大量の冷媒も廃棄されている。再利用されている冷媒は殆どないか、まったくない。「その冷媒は消えてしまったし、取り戻すことはできない」と強く訴えた。
同氏は状況を改善するために業界とのパートナーシップを求めた。「我々はパートナーと協業したい。しかし、冷媒を漏らさないように、設備業者に圧力をかけることも必要である。これは目を覚ますようにという警告だ」と述べた。
グラックマン氏はこれに同意し「非常に重要な点だ。割当量削減で生き残るためには、冷媒を回収する必要がある。経済的にも冷媒再生は促進すべきだ。もし冷媒1kgの価格が100ポンド(約1万4500円)だとすると、冷媒再生に要する費用はこれよりはるかに少ない。再生すべきという理由にこれ以上の説明は必要としない」と述べた。
◆ 計画の策定と急がれる実行
すべての講演者は、低GWP冷媒へ移行するための計画を策定しなければならないことに同意した。2020年から冷媒充てん量の大きな装置では高GWP冷媒の補充が禁止となる。2021年にはHFC割当量の大幅な削減が行われる。
ケマーズのマーケティングマネージャであるジャネット・ルーデルト氏は「2021年には実質的な削減となるため、先見性を持って計画を立てることが重要だ。今行動しなければならない」と述べている。
ハネウェルのフルオロプロダクト担当のマーケィング役員パトリック・アムールハイン氏はCFCの段階的廃止に際し、在庫が尽きた時に冷媒価格が大幅に上昇したという歴史的な前例から、早く低GWPに移行する方が経済的に有益である。「後で大きく投資しなければならないリスクを避けるために、今すぐ投資するべきだ」と述べた。
[出典 RAC June 2018
Call for new culture of improved refrigerant containment and recycling]
以上
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