この度当工業会発行のガイドラインJRA GL-20(特定不活性ガスを使用した冷媒設備の冷媒ガスが漏えいしたときの燃焼を防止するための適切な措置)が、
海外短信
No.660 2018年11月
パナソニックと米ハスマン 米国で「ラストマイルハブ」を開発
IoTを活用した冷凍冷蔵食品の宅配ロッカー
パナソニックと米ハスマンがIoTを活用した「ラストマイルハブ」を開発した。食品の小売配送で届け先へのラストワンマイルでの課題解決を図る。「ラストマイルハブ」のパイロット計画は現在北米や世界各国で進められており、顧客の配達希望を満足させながら、食品小売業者の配送コストを下げている。
パナソニックとハスマンが開発した「ラストマイルハブ」は食料品やその他の購入品の宅配ロッカーであり、冷蔵、冷凍、および室温に管理され、要求に応じた便利さと柔軟性を提供している。モジュラーキャビネットの冷蔵システムにはパナソニックの開発したIoT技術が使われている。キャビネットはそれぞれに扉を設け、顧客の目的に応じたロッカーが特徴になっている。ロッカーは4種類のサイズとし、200ユニットまでコントルール可能であり、それぞれのモジュールは温度管理なし、冷蔵(0~5℃)、および冷凍(-18~15℃)の3種類の温度設定が可能になっている。
街角に設置されたパナソニックの「ラストマイルハブ」
〔JARN, August 25, 2018〕
ダイキンとNEDO ポルトガルで空調デマンドレスポンス実証システムを完成
再生可能エネルギーの大量導入を目指して7月から運転開始
ダイキンと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ポルトガルのリスボンで空調における自動デマンドレスポンス(ADR)実証システムを完成させた。このシステムは2016年11月から構築してきたもので、2018年7月から運転を開始している。
実証システムはポルトガルの電力小売事業者および複数の中小規模の再生可能エネルギーによる仮想発電プラント(VPP)と共同して運営されている。蓄冷ユニットとデマンドレスポンス機能を持つオフィスビル用マルチスプリット空調システムが使用されている。空調システムはリスボンの市庁舎など4か所の公共施設に設置。空調システムに対する電力消費の上限は電力の需要と供給のバランスから電力網からの要求に対応して自動的に制御されている。
プロジェクトはADR技術を用いて夏季シーズンを通じてピーク需要時間に再生可能エネルギーの利用を最大にするために、電力小売事業者のビジネスモデルを確立することを目的としている。従って安定して再生可能エネルギーを供給することにシステムが有効に機能しているかが評価のポイントになっている。
実証システムの概要
三菱電機の「ルームエアコン」とパナソニックの「天井換気扇」
米“ディーラー・デザイン・アワード2018”で共に金賞を受賞
米“ディーラー・デザイン・アワード”は、設備業者の視点から見て据付性、メンテナンス性、およびサービス性に優れた冷凍空調製品を表彰している。15回目となる2018年は住宅制御機器、換気、冷凍、要素部品、付属機器など13のカテゴリーに98件の応募があった。設備業者が審査した結果、各カテゴリーそれぞれに金賞、銀賞、銅賞が与えられ、総計39製品が受賞となった。日本メーカーでは三菱電機の「ルームエアコン」が高効率住宅空調機の分野で、またパナソニックの「天井換気扇」が要素部品および付属品の分野で共に金賞を獲得した。
金賞となった三菱電機のルームエアコンは一方向天井カセット型で、据付とメンテナンスを容易にしたことに加えて、先進的なフィルターによるIAQの向上、高効率、および居住者に合わせた風量と気流方向の制御を可能とした自動ベーン制御技術が評価された。
三菱電機「ルームエアコン」
パナソニックは浴室用「天井換気扇」で金賞を受賞した。「これまでの天井換気扇の据付は複雑なダクト工事が必要であり、また性能もよいものではなかった。しかしこの製品は天井換気扇としては初めて第一級の据付性を有しており、ファン性能も向上している」とパナソニックのジョー・ネーガン氏は述べている。
パナソニック「天井換気扇」
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News July 23, 2018〕
東芝キヤリア インドに米ユナイテッド・テクノロジーズとの合弁会社を設立
インドの業務用空調機事業を強化
東芝キヤリアは8月22日、米国ユナイテッド・テクノロジーズとの合弁会社、東芝キヤリア・インド社をインド ハリヤナ州のグルガオンに設立したと発表した。新会社は2018年8月14日に設立され、本社は東芝インド社の中に設置。東芝キヤリアは業務用空調機の企画、開発、製造、および販売を現地化し、インドにおける業務用空調機の事業拡大を図る。
新会社はVRFに対する強い需要に対応するために設立された。インドでは約13億人という人口による大きな国内需要があり、年間のGDP成長率が7.4%という高い経済成長が続く。
東芝キヤリア・インド社は、キヤリア社のインドにおける現地法人であるキヤリアインド社の製造拠点による生産の恩恵を受けることになり、またインド国内の強固な販売ネットワークを利用することが可能となる。インドで急成長を遂げようとしているVRFの分野で市場をリードすることに注力する。
〔JARN, September 25, 2018〕
ジョンソンコントロールズ日立空調インド コルカタにエンジニアリング・エクセレンス・センター(EEC)を設立
ジョンソンコントロールズ日立空調インドは、2018年6月27日にインド コルカタにエンジニアリング・エクセレンス・センター(EEC)を発足させた。これはデリー、チェンナイ、およびムンバイの3か所に引き続き、インドで4番目のEECとなる。東部州における初の冷凍空調の職業訓練所であり、技術を持った作業者を養成し、雇用されるように能力を高める。
コルカタのEECの敷地面積は780㎡。ルームエアコン、VRF、パッケージエアコン、コントロールパネル、およびろう付けの実地訓練を行う。25席の教室が2つあり、7つの製品の実習所と2つの教室で一度に170名の訓練ができる。
ジョンソンコントロールズ日立空調インドの会長執行役員であるグルミート・シン氏がEECのテープカットをおこなった。
2016年にデリーとチェンナイの2か所に初めてEECを設立し、続いて2018年にムンバイに設置。これまでに2,500人以上の訓練生を輩出してきた。
グルミート・シン執行役員によるコルカタのEEC開所式
〔JARN, September 25, 2018〕
三菱重工サーマルシステムズ ドイツにトラック/トレーラ用冷凍機の欧州販売・サービス会社を設立
三菱重工サーマルシステムズは、ドイツの空調・冷凍機器の販売会社であるハイフォ社と合弁会社を設立することで合意した。欧州にてトラック/トレーラ用冷凍ユニットの販売とサービスを提供する。9月に発足する新会社の社名は「Mitsubishi Heavy Industries Thermal Transport Europe GmbH」となる。設立の目的は、機動的営業力の向上、技術提案とメンテナンスの支援機能の強化、および欧州での事業拡大である。新会社は最初ドイツと欧州北部を対象とするが、続いて西部と中央欧州へと拡大していく。
ハイフォ社はこれまで三菱重工ブランドのトラック/トレーラ用冷凍機の販売とサービスを行ってきた。自動車産業が盛んなニーダーザクセン州のオスナブリュク市に本社を置いている。新たに設立された会社も同市に設置される。資本金は600万ユーロ(約8億円)で三菱重工サーマルシステムズがこの内の60%を出資する。製品は当面日本と中国から供給されることになっている。
〔JARN, August 25, 2018〕
欧州EPEE EU理事会にキガリ改正の批准を世界各国に呼びかけるように要請
欧州における冷凍空調の業界団体である欧州エネルギー・環境パートナーシップ(EPEE)は、世界でHFCの段階的削減を開始するために、キガリ改正をEUが批准することにより、メッセージを世界各国に送るようにEU理事会に要請した。
ベルギーが38番目の批准国となったのに続いて、モントリオール議定書の次の会合が行われる7月11日より前にEUは批准するようにEU理事会議長国に要請した。
EPEEのアンドレア・フォクト事務局長は「キガリ改正の批准は、HFCの排出削減においてEUが世界にリーダーシップを示すまたとない機会だ。キガリ改正をまだ批准していない世界の国に強く呼びかけるために、我々はEU理事会議長国に優先度の高い議案としてキガリ改正の批准を要請している」と述べた。キガリ改正は20か国が批准したことにより2019年1月1日より発効する。「認知度を高め、欧州F-ガス規制を成功させるために、政策決定者、産業界、使用者、および学校と緊密に作業を進めている」とEPEEは述べている。
〔RAC, July 2018〕
米中貿易戦争が米国空調機器に及ぼす影響
米中間の貿易戦争の様相が濃くなってきたことにより、米産業界の製造業者にとって明るい景況感は失われつつある。米国冷凍空調工業会(AHRI)の国際関係の上級マネージャーであるマイケル・ラジーリア氏は「会員企業は、鉄およびアルミについての232条関税とその他製品の301条関税による影響だけでなく、米国市場における彼らの競争力への影響について懸念を抱いている。関税の伝統的な意図のとおり、心配は一見後ろ向きのようにみえるが、AHRIの会員は、材料や部品に関税を掛けられた結果、関税が掛からない輸入品と米国内市場で競合した場合のシナリオを心配している。
「他の有害な影響は、長期計画の策定を困難にする関税措置の不確実さだ。これらの関税がいつまで続くのか誰にも分からない。従って操業を変更するとしたらいつ変更すればよいのか分からない。この種の不確かさにより、国の目標に反して、従業員の採用も順次見合わせることになる」とラジーリア氏は述べている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News July 9, 2018〕
2018年上半期の世界のエアコン市場:新製品と販売促進により記録的な伸び
世界のルームエアコン(RAC)の2018年上半期における総需要は、前年同期と比較して7%増加したとJARNは推定している。
米国では経済成長に沿ってエアコンの需要も順調に伸びた。米国冷凍空調工業会(AHRI)の出荷データによると、ダクトタイプはユニタリーシステムの販売が2018年上半期6.1%の増加となった。ダクトレスタイプではウインド、ミニスプリット、VRFがそれぞれ6%、8%、および11%の伸びとなった。
欧州ではRAC市場の成長は昨年の初めからスローダウンしてきている。このテコ入れとして日本メーカーは新製品を投入し、新たな販売戦略を実施している。こうした努力の結果もあって2018年上半期の欧州のRAC需要は3%の伸びを確保した。
中国のRAC市場は昨年のような急激な伸びは見られず、10%という通常の伸びに戻っている。
東南アジアでは雨の影響で昨年よりも19%の減少となった。インドにおいても伸びは5%に留まり、期待された伸びの半分に終わった。中東では政治情勢の不安定さがエアコン需要にも影響を及ぼし、昨年を13%下回る結果となった。昨年好調な伸びをみせたオセアニアのRAC市場もブレーキが掛かり12%の減少になった。ラテンアメリカのRAC市場は徐々に勢いを取り戻し10%の増加。ラテンアメリカは中国メーカーからの輸出が比較的強い。減少傾向にあったアフリカの市場も回復に入り10%の増加となった。
2018年上半期での世界のエアコン市場の伸び率
〔JARN, August 25, 2018〕
米ケマーズ ディエゴ・ボエリ副社長 HFCの代替冷媒を語る
米国ケマーズのディエゴ・ボエリ副社長がJARNのインタビューに応じてケマーズの冷媒事業戦略を語った。
―R410Aの代替となる冷媒をどのように考えているのか。
「R410Aの代替はXL41であり、欧州における我々の看板製品だ。R32の代替ともなりうる。R32よりもGWPが25%小さく、機器の変更もほとんどないので好まれている。XL41は今年日本でも販売される。機器メーカーも使用することができるだろう。使用許可を申請している最中だ。
検討されている製品が他にもある。ひとつはオプテオンXL55であり、もう一つはXP40だ。XP40は日本でも販売されており、業務用の冷凍に使用される。GWPは1,500以下であるため日本の規制もクリアしている。
―冷媒の燃焼性についてはどのように考えているのか。
「冷媒の燃焼性により安全性が問題になるとは考えていない。微燃性冷媒においては圧縮機と機器の対応が要求される。可燃性のレトロフィット冷媒であった第一世代のHFOと比較して、第二世代であるオプテオンXLは改善されており実用になっている。
冷媒産業界はより燃焼性の小さい冷媒の長期的な開発を進めている。プロパンはA3に区分され激しい可燃性を有するが、我々の冷媒はA2Lに区分され微燃性である。新しい冷媒を安全に使うために我々はウエブサイトやカタログに施工教育を記載している」
米ケマーズ ディエゴ・ボエリ副社長
〔JARN, August 25, 2018〕
アメリカ空調設備協会 ハネウェルの不燃性冷媒R-466Aについて見解を発表
ハネウェルが発表したR-410Aの代替となる不燃性冷媒R-466Aについて、アメリカ空調設備協会(ACCA)が次のような見解を発表した。
「不燃性の代替冷媒が開発されたことは設備業者にとって歓迎すべきことだ。設備業者はこれまで可燃性冷媒の使用については心配をしてきた。安全性に配慮することなく、また設備業者や技術者に対しても訓練がされていなかったからだ」とACCAのポール・ストールネット会長は語っている。「しかしR-466Aが住宅市場で実用可能なものかどうか判断するにはまだ早すぎる。ACCAは追加情報を待っているし、新冷媒について設備業者からの情報の共有を待ち望んでいる」と述べた。
「空調業界がこの冷媒を採用するにはまだしばらく時間かかる。製造業者も設備業者も市場でどのような性能を発揮するのか知る必要があるし、また用途によってどのような副作用があるのかも知らなければならない。従って、ACCAは、微燃性ではあるがR-410Aに対して実用的な代替となる冷媒については、訓練を実施していく方針だ」とACCAのグレン・フルハン上級会長は述べている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News July 9, 2018〕
住宅設備がインターネットにつながるスマートホーム
サーモスタットによりHVACがハイテク化
HVACにおけるIoTはサーモスタットから始まった。スマートフォン、スマートスピーカー、Wi-Fi接続は、米国の住宅の89%(2017年時点)で使用されており、スマートホームはHVACの領域を越えて拡大している。常時接続に対する顧客の需要と歩調を合わせるよう製造業者は取り組んでいる。
「HVACの視点から見ると、最も大きな変化はHVACの外で起きている」とネストラボでプロフェッショナル・チャネルの取りまとめをしているジーン・ラノア氏は述べている。「伝統的にスマートホームはサーモスタットが中心であった。5年前にネストラボでこの仕事を始めた時、ビジョンはHVACを単なるサーモスタット以上のものにすることであった。スマートホームとしてIoTを住宅設備全体に浸透させることによって、現在、すべてのものがひとつのアプリケーション、ひとつのブランドで作動することになった。設備業者が突然カメラやドアベルも販売しだしているのだ」
HVACのような古くからある製品にとって、スマートホームに踏み込むことは、ラノア氏が見てきたここ20数年で最大の変化だという。「製品が拡大し、深く統合し始めている。その結果、スマートホームの中心がHVACシステムのサーモスタットに戻っている。人々は製品を一緒に動かすことを期待しているのだ」とラノア氏は述べている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News July 30, 2018〕
以上
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