2019年7月1日に工業標準化法から産業標準化法に変わりました。 近年、IoTやAIなど情報技術の革新が進み、企業の競争力は、データやその活用に移りつ?
海外短信クローズアップ
No.666 2019年11月
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冷蔵商品陳列棚にガラス扉を付けるべきか”英国で新たに論争
英国では“冷蔵商品陳列棚にはガラス扉を付けるべきだ”という請願書が政府に提出されている。政府のビジネス・エネルギー・産業省(BEIS)の反応は冷ややかだったが、一般人であるジョナサン・ゴールディング氏が、要件となっている2万人を超える賛同者の署名を集めたことにより政府も対応せざるを得なくなった。
政府のオープン請願サイト(tiny.cc/e4xibz)では、冷蔵商品陳列棚に扉の設置を義務付ける請願が現在2万9千人の署名を集めている。ゴールディング氏は「英国の小売店はいたずらに冷蔵ケースで巨大なエネルギーを無駄にしている。気候変動が我々の地球を脅かしている。もしすべてのスーパーマーケットが冷蔵ケースに扉を設置したならば、ポーランドの人口と同じ人数が家庭で消費しているのと同じ量のエネルギーを節約することができる」と述べている。
BEISの見解は、請願を取り上げないというものであった。理由はエコデザイン・エネルギー規制では技術の内容は規定しないことになっている。「ミニマム・エネルギー性能基準、エコデザイン規制としても知られているこの規制は、技術に対しては中立であり、製造業者に対して扉を付けて効率を上げなさいとは規定していない。すべての製造業者が守るべきミニマム・エネルギー効率を定めているだけである。どのようにして要求事項を達成するかは、製造業者に一任されている」と述べている。
BEISはまた次のように述べている。「新たな規制の立案では、今後数年間に市場が技術の進歩および環境影響のような他の要因でどのように成熟していくのかを見定めている。現在は環境への影響を減らすために、修理、分解、およびリサイクルの容易性についての要求事項をまとめている」
英国は2050年までにカーボンの排出をゼロにすることに署名したことにより、冷蔵商品陳列棚に扉を付けるべきという論争が再燃している。小売店は扉を付けると衝動買いの障壁となって売り上げが減ることを経験上知っている。しかしエネルギー消費の節約割合は少なくとも30%、多いものでは65%にもなるとされ、これが扉を付けるべきとの論拠となっている。
オープンケース技術の専門家であるアプライド・デザイン&エンジニアリング(AD&E)が論争に参加し、「店舗での実際の扉の開閉頻度は、扉付き冷蔵ケースのエネルギー計算で用いられている回数よりはるかに多く、買い物客でにぎわっている店舗でケースに扉を付けるのは現実的ではない」と述べている。AD&Eの執行役員であるイアン・ウッド氏によると冷蔵商品陳列ケースの試験標準BS EN ISO23953では、ガラス扉の冷蔵ケースの試験条件は、扉の開閉頻度を1時間当たり10回、開閉時間を15秒と定めている。しかし実際の店舗での開閉頻度は、スーパーマーケットでは1時間に60回にも達している。
〔出典:RAC September 2019〕
以上
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