■2018年度省エネ大賞はこちら ■2017年度省エネ大賞はこちら 製品・ビジネスモデル部門「省エネ住宅対応型ルームエアコン」(うるさらX、Aシリーズ?
海外短信
No.668 2020年3月
- ■海外短信 11月号(No.666)はこちらから
- ■海外短信 10月号(No.665)はこちらから
- ■海外短信 7月号(No.664)はこちらから
■海外短信 5月号(No.663)はこちらから
■海外短信 3月号(No.662)はこちらから
■海外短信 11月号(No.660)はこちらから
1. ジョンソンコントロールズ日立空調 インドにグローバル開発センターを設立
東南アジア、中東、欧州など多様な市場への対応力を向上
ジョンソンコントロールズ日立空調は2019年10月4日、インドのグジャラート州カディにグローバル開発センターを設立すると発表した。最新の装置を用いて開発能力を世界のトップクラスとし、インドおよび東南アジア、中東、欧州市場向けの家庭用エアコンと業務用パッケージエアコンを開発する。
当センターで開発に携わる技術者は当初約150人とし、300人まで増員可能。信頼性試験、通年エネルギー消費効率(APF)試験、電気ノイズ(EMC)試験、エレクトロニクス、および半無響室など先進の研究計測装置を備え、開発能力を最大限発揮する。またユーザー目線の設計/ユーザー中心の設計、工業デザイン、シミュレーション、コントロール、デザイン品質、プロジェクト・マネージメント、および技術情報システムなどの幅広い技術を活用する。
「この新たなグローバル開発センターは、特に東南アジア、中東、欧州向けの新製品開発において、地域ごとの多様なニーズへの対応力を向上するための重要な役割を果たす」とジョンソンコントロールズ日立空調のフランツ・サーウィンカCEOは述べている。
写真1:インドにグローバル開発センターの設立を発表する
ジョンソンコントロールズ日立空調
〔JARN, October 25, 2019〕
2. インド政府 世界冷房技術賞のファイナリスト8チームを発表
日本からはダイキン・日建設計のチームが選出される
インド政府科学技術省、米国ロッキーマウンテン研究所、および欧州ミッションイノベーションはニューデリーで2019年11月15日、世界冷房技術賞(GCP)のファイナリスト8チームを発表した。同賞は国際的なイノベーションコンペであり、現在インド市場で販売されている住宅用エアコンと比べて気候への影響を5分の1に減らすソリューションの開発を促している。2018年11月に創設された。
ファイナリストチームには中国、インド、日本、英国、および米国から空調機メーカーと将来性のあるスタートアップ企業が選出された。日本からはダイキンエアコンディショニングインド・ダイキン・日建設計のチームが選ばれた。
ファイナリストにはそれぞれ20万ドル(約2,200万円)の賞金が授与され、プロトタイプを製造し、2020年の夏にインドで実機評価テストが行われる。大賞受賞者は2020年11月に発表される。
写真2:トロフィーを手にする世界冷房技術賞のファイナリスト8チーム
〔JARN, January 25, 2020〕
3. 富士通ゼネラル タイに第二工場を建設
生産能力を増加し、IoTを活用して生産効率を向上
富士通ゼネラル(タイランド)が現在の第一工場と同じ工業団地に新工場(第二工場)を建設し、2019年10月より操業を開始した。この新工場が稼働したことにより、第一工場では室外機を、第二工場では室内機を生産する。これにより同社は年間生産能力を2022会計年度までに340万ユニットと2018会計年度の約1.9倍に引き上げる。生産ラインを拡張するとともにIoTを両工場に導入する。
同社はM&Aやイノベーション・コミュニケーション・センター(ICC)の建設など先行投資を積極的に行っており、2022会計年度を目標年度とした中期経営計画の達成に向けて空調機事業を強化している。今回のタイ工場への投資もこの一環であり、IoTを活用して生産効率を向上するとともに、タイと中国の工場の生産バランスを改善する。これらの活動により生産体制をさらに強化していく。
写真3:富士通ゼネラル(タイ)第二工場
〔JARN, October 25, 2019〕
4. パナソニック ベトナムでエアコン・トレーニングセンターを開設
パナソニック・エアコンディショニング・ベトナム(PACVN)は2019年10月31日、ベトナムハノイで初めてとなるエアコン・トレーニングセンターの開所式を行った。PACVNはパナソニック・ベトナムの新しく設立された事業部。同センターはハノイのカウザイ区トランドゥイハング通りのチャームビットタワーの13階にある。
業務用(B2B)エアコンのパートナーに対して中心的な役割を果たす。ここではさまざまな製品の展示やデモンストレーション、トレーニングを通じて、同社の先進技術を見たり、高性能な日本製品を体験することができる。同センターではルームエアコン、業務用エアコン、空気清浄器、エネルギー回収換気扇、および「ナノイー」による空気清浄技術を展示している。
空調機以外のB2Bソリューションとしては、居住者のセキュリティを高めるための最新のビデオインターコム、またレストランやスーパーマーケット向けの冷蔵貯蔵製品なども展示している。
同センターでは座学のみならず、実機を用いた据付、保守のトレーニングも行っている。2020年には同様なエアコンのトレーニングセンターをホーチミン市にも開設する予定となっている。
写真4:ハノイにおけるパナソニック・エアコンディショニング
・トレーニング・センターの開所式
〔JARN, November 25, 2019〕
5. デンソーとグローバル・モビリティ・サービス インドネシアにおいて小口保冷輸送サービスのフィールド・テストを開始 生鮮食品などを商業施設や家庭に配送
デンソーとグローバル・モビリティ・サービス(GMS)は2019年10月からインドネシアにおいて、小口保冷輸送サービスのフィールド・テストを開始した。生鮮食品などを商業施設や家庭に配送する。デンソーとGMSはインドネシアにおいてコールドチェーン物流ネットワークの構築を目指している。将来このようなビジネスモデルを商業化をするにあたっての課題を特定し、対応策を確立する。
フィールド・テストではデンソーの小型冷凍ユニットを装着した小型冷凍車をドライバーに貸し出す。ドライバーは荷主から請け負った生鮮食品や冷凍食品を配送する。デンソーとGMSは小口保冷輸送のニーズとドライバーの配送収入を検証する。
デンソーとGMSの両社は近い将来GMSのローン返済システムを用いて、これまで冷凍車を購入するための収入が無かった人にも就業機会を提供するとともに、インドネシアにおける保冷輸送サービスの向上に貢献していく。
〔JARN, November 25 2019〕
6. 三菱重工サーマルシステムズ 中国常熟市にカーエアコンの生産拠点を設立
中国でのEV普及に伴いカーエアコンの市場拡大を見込む
三菱重工サーマルシステムズは2019年10月、中国の江蘇省常熟市が運営する工業団地にカーエアコンの生産拠点を設立すると決定し、10月8日常熟市当局との契約書に署名した。電気自動車(EV)などの急速な普及に伴い、中国の市場は大きく拡大すると見込まれている。 同社は成長率の伸びに合わせて電動圧縮機の現地生産を拡張する方針。新工場は2022年の操業開始を予定している。この新工場は同社にとって中国での2番目のカーエアコンの工場となる。年間生産能力は50万台となっている。
新たな生産拠点となるMHIオートモーティーブ・クライメート・コントロール(常熟)は三菱重工サーマルシステムズの100%出資の会社とし、かねてより三菱重工と親交の深かった常熟市内の「常熟高新技術産業開発区」に1年ほどで発足する予定となっている。新工場では情報のトレーサビリティ・システムを組立と部品に採用することで、顧客のニーズに対応した供給体制を構築し、順次生産能力を増強していくことを計画している。
写真5:契約書の署名式
〔JARN, November 25 2019〕
7. ヤンマー ドイツにヤンマーエネルギーシステム欧州を設立
ガスエンジン発電から冷凍空調まで顧客それぞれのニーズに合ったソリューションを提供
ヤンマーは2019年9月25日、ヤンマーエネルギーシステム欧州(YESE)の設立を発表した。同社は総合エネルギー会社として欧州での顧客に対し、ガスエンジン発電と冷凍空調機を用いた先進的総合ソリューションを提供する。
YESEの設立は2019年4月にエッシェンフェルダーKKUグループがヤンマーグループに参画したことを受けてのもの。KKUは産業用の冷凍と空調のエンジニアリング、販売、施工に強いことからヤンマーグループに入った。ヤンマーエネルギーシステムはガスエンジンヒートポンプ、チラーおよびコジェネレーションのリーダーであり、顧客の個別ニーズに合わせた開発から生産・販売を行っている。
「新会社の設立によりヤンマーの幅広いエネルギーシステム・ポートフォリオと能力がひとつの屋根の下に統合される。これによりガスエンジン発電から冷凍空調まで顧客それぞれの個別ニーズに対応した総合サービスを提供できる」とYESEの田島洋介CEOは述べている。ドイツのマール市に本社を置いて、YESEは開発力を強化し、ドイツとその他欧州のエネルギー顧客に対して顧客の要望に合ったソリューションを提供していく。
〔JARN, October 25 2019〕
8. ハネウェル パーカー・ハネフィンのスポーラン事業部と提携
不燃性・低GWP冷媒であるソルスティスN41の商業化を加速
ハネウェルは2019年9月19日、米国パーカー・ハネフィンのスポーラン事業部との提携を発表した。同事業部は冷凍空調機の制御機器と部品の世界的なメーカーである。定置用空調システムに使われているR410Aを代替する不燃性で低GWP冷媒であるソルスティスN41(R466A)の商業化に勢いをつける。
「我々は材料選定と広範な試験を実施して評価を繰り返し、ソルスティスN41が使用される用途での最適化を図った。これらの部品によりソリスティスN41を用いた冷凍空調システムの効率、能力及び信頼性が最適化されることがわかっている」とスポーラン事業部のマーケッティング・マネージャであるダスティン・サーシー氏は述べている。
2019年末に商業化されると、ソルスティスN41はR410Aを代替する定置用エアコンシステムで初めての不燃性・低GWP冷媒となる。ハネウェルの副社長であるクリス・ラピエトラ氏は「パーカー・ハネフィンと提携することで、今年後半のソリスティスN41への移行の際に、この冷媒を使用する部品の準備が整っていることが明らかになる」とコメントしている。
〔JARN, October 25 2019〕
9. 世界VRF標準作成ワーキング・グループの第4回会合 東京で開催
「最適な計測要領」、「SEERなどのデータと効率表示」などについて討議
世界VRF標準作成ワーキング・グループの第4回会合が、日本冷凍空調工業会のサポートのもと2019年12月3、4日、東京のパナソニック・センターで米国冷凍空調工業会(AHRI)により開催された。4回目となる今回の会合には米国、日本、中国、韓国のVRFメーカー10社などから46人の専門家が出席した。
開会に当たり米国冷凍空調工業会(AHRI)のスティーブ・ユーレクCEOは「我々はこの世界VRF標準をタイムリーに取りまとめて、VRFの基準を作成しようとしている世界の国々へ提供しなければならない。また同時に現場で顧客が正確に性能を計測できる技術も我々は持ち合わせていなければならない。信頼性を向上することによってVRFの価値を示すことができる」と述べた。
会合は「計測室の仕様と最適な計測要領」、「SEER、IPLVなどのデータと効率表示」、「目的・範囲・定義・分類」、および「最低エネルギー効率など各国の要求規定」の4つの委員会に分かれて討議が行われた。
次回の会合は2020年4月23、24日に米国AHRIのオフィスで開催される。
〔JARN, December 25, 2019〕
10.欧州EPEE 欧州委員会のエネルギーラベル方針を支持
ヒートポンプとスペースヒーターなど異なる暖房方式に単一のエネルギーラベルを採用
欧州委員会が12kWまでのヒートポンプとスペースヒーターに単一のエネルギーラベルを導入する方針であることについて、欧州の冷凍空調産業の団体である欧州エネルギー・環境パートナーシップ(EPEE)は、この方針を強く支持すると2019年11月に声明を発表した。これにより再生可能エネルギーや高効率機器の採用が促進され、消費者は簡単に住宅における暖房技術を選択することができる。
「スペースヒーターとヒートポンプとでエネルギーラベルを分けることは意味がない。暖房という目的は同じなので、単一ラベルのほうが効率の比較をしやすい。同じ考え方はすでにヒートポンプとボイラの間にも適用されており、欧州の市民や産業に強く受け入れられている。ヒートポンプとスペースヒーターに単一のラベルを採用することは、EUの気候・エネルギー目標の達成に向けて、エネルギー効率を改善し、再生可能エネルギーの採用を促進するうえで主要なマイルストーンとなる」とEPEEは声明のなかで述べている。
〔JARN, December 25, 2019〕
11. 中国 新エネルギー効率基準が2020年7月より発効
低効率機が市場から一掃されるのにはしばらく時間がかかる模様
中国で新たに改正されたエネルギー効率基準が2020年7月1日に発効する。インバータ機と非インバータ機のエネルギー効率のグレードを初めて統一し、低品質製品と企業の淘汰を早めようとするもの。新基準の実施は、非インバータ機を市場から排除し、またインバータ機であってもグレード3の効率のものは省エネ型製品の範疇には含めないことを意味している。このような環境のもと、多くのエアコンメーカーはエアコンの高効率化を図っており、効率の低いエアコンの在庫消化を急いでいる。
しかし新基準であっても早急に低効率品を市場から排除することはできない。エアコンを購入する際に、消費者は予算の範囲内でベストの製品を購入する。この価格は新基準での省エネ型エアコンの価格よりも安いかもしれない。新基準に対応した高効率機の価値を消費者が理解するのにはしばらく時間がかかるであろう。
〔JARN, January 25, 2020〕
12. ベトナムからの輸出が急増 米国は中国からのバイパスを懸念
ベトナム政府は原産地ラベルの検証を強化
2019年、ベトナムは急速に輸出を増やした。最初の8か月間、多くの国に前年を上回る輸出を行った。例えば、カナダへの輸出は31.3%の伸びを示し、米国への輸出の伸び率は25.3%、メキシコへは20.9%、ロシアへは14.2%、ニュージーランドへは12.8%、日本へは9.9%、韓国へは5.3%、ASEANへは3.7%であった。
米国への輸出の伸びは長引く米中貿易戦争の影響である。米国政府の統計によると2019年の最初の5か月間、ベトナムが米国に輸出したコンピュータと電子機器は前年比71.6%の伸びとなったが、中国がベトナムに輸出した量も大きな伸びとなった。米国政府は急増するベトナムからの輸入に対して中国からのバイパスを懸念している。
ベトナムは現在2つ自由貿易協定を結んでいる。ひとつはEUとのものであり、もうひとつはTPPである。しかし2つの協定ともベトナム製の原産地証明に対して高い要求がつきつけられている。ベトナム政府は原産地不正表示の取り締まりを強化しており、輸出入の原産地表示規制を見直し、最新の規制が2019年10月21日より施行された。
〔JARN, September 25, 2019〕