海外駐在記は、前編に引き続き、当工業会 国際部 波多野次長のインド駐在体験(後編)をお届けます。前編(No.672)はこちらから 過去記事はこちらから?
海外短信
No.673 2020年11月
1.ダイキン ベトナム中部にサービスステーションを開設ダイキンは2020年6月6日、ベトナムのビンディン省クイニョン市にサービスステーションを開設した。ベトナム中部での顧客に対するサービス品質の向上を図る。
日本の基準に準じたハイテク製品を供給することに加えて、“顧客第一”の企業理念の下、同社は販売後のサービス品質の向上に力を入れており、より迅速なサービスを目指している。
同社は現在ベトナムに7つのサービスセンターと10のサービスステーションを設け、またサービスエージェントとして110社を認証している。これにより顧客に最も優れた利便性を保証している。
2.富士通ゼネラル 米国リーム社と共同開発した空調機を北米で発売
富士通ゼネラルは米国リーム社と初めて共同開発した空調機を8月25日から北米で販売を開始した。
北米の住宅空調機市場では、同社の主力製品であるミニスプリットとヒートポンプが過去5年間に平均年間16%の成長率となっている。北米で主流である住宅用ダクト方式のエアコンおよびヒートポンプの同期間での平均年間成長率は4%。
2017年以来、同社とリーム社は戦略的なパートナーとなっており、北米では共同して空調機の拡販に努めてきている。
2社は共同して高効率、低騒音、快適性に優れた新たな空調機を開発してきた。ミニスプリットタイプの室外機は富士通ゼネラルが開発し、室内機はリーム社が開発した。室外機は従来の住宅用ダクト方式のものよりもコンパクトな設計になっている。室内機は北米でよく用いられているマルチポジションタイプのエアハンドリングユニットとなっており、設置性に優れている。
3.三菱重工-ハイアール 研究開発センターが中国青島に完成
中国山東省青島の三菱重工-ハイアールの新工場内に三菱重工リサーチ&デベロップメントハイタワーが完成し、8月28日、センターの開所式が行われた。これにより三菱重工-ハイアールは、三菱重工の業務用空調機の最大の製造拠点であるだけでなく、最大の研究開発拠点となった。三菱重工は日本の名古屋と中国の青島を拠点として、業務用空調機のコアとなる技術の世界における研究開発体制を整えた。
108mのハイタワーは三菱重工-ハイアールの空調機プロジェクトの第2フェーズとして完成したもので、総合的な研究開発と室内外の高低差の大きい据付での稼働試験を初めて可能にした。センターではヒートポンプのスマートコントロール技術を採用して、40%以上の省エネを実施している。三菱重工-ハイアールは日本の三菱重工の試験装置と同一の装置を持つことにより、日本からの技術移転を効率的に進め、中国の顧客ニーズへの対応を早めている。
〔JARN September 25, 2020〕
4.パナソニック ドイツでスマート・シティ・プロジェクトを実施
パナソニックは2020年7月、ドイツにおいてスマート・シティ・プロジェクト‘フューチャー・リビング・ベルリン’をスタートさせた。これは革新的なCO2排出削減エネルギー・ソリューションとなっている。プロジェクトは都市における先導として、同社におけるスマート・シティ・ポートフォリオでは重要な位置づけとなっており、社会の脱炭素化を促進する。
ベルリンプロジェクトは、高機能、高効率なエネルギー管理システムにまとめ上げられたパナソニックの高効率ATWヒートポンプ、太陽光パネル、蓄電池を含むスマート・エネルギー・ソリューションを導入することにより環境負荷の少ない、持続可能な、デジタル化された、ネットワークにつながった暮らし、を結び付ける。
プロジェクトのコアとなるエネルギー要素はATWヒートポンプ給湯機であり、これを600枚の太陽光発電パネルによる195kWの電力で運転する。これによりほとんどCO2の排出をほぼゼロに抑えることができる。
‘フューチャー・リビング・ベルリン’のデジタルでつながったシステムはアパートから始められている。デジタル化され、ネット環境のあるソリューションは、さらにセキュリティ、安全性、居住者の全体的な快適性を向上させたスマート・ビルにまで拡張されている。
提供する環境保全技術
5.ジョンソンコントロールズ日立空調 インドでの現地調達率を上げる
ジョンソンコントロールズ日立空調・インドのグルミート・サイ会長執行役員は8月16日、「インドのエアコンビジネスは2020年、新型コロナウイルスの流行により打撃を受けたが、2021年からは再び成長軌道に乗る」と述べた。同社は2020年第2四半期に70%以上販売が落ち込んだと報じられている。しかし、インド市場に十分に留まっており、長期的な見通しに自信を持っている。「最近のレポートで、我々は空調業界を代表して政府に、今後8年間に空調機の販売はほぼ3倍に成長すると上申した。当社は産業界よりも早く成長したい」とサイ氏は述べている。
同社は今後3年間に要素部品の輸入をほぼ半分にしようとしている。インド政府と共同して重要な部品の輸入を減らすように努めており、海外のベンダーにインドでモーター、プリント基板、圧縮機などの現地生産を呼びかけている。現地生産と材料・部品や要素部品の現地化を促進するために同社は零細企業から中小企業までの協業体を作っている。初年度はコストアップになっても、ベンダーが技術を覚え、コストが下がってくれば元が取れるとみている。
〔JARN September 25, 2020〕
6.ドイツ政府 国家エネルギー気候計画(NECP)を策定
ドイツ連邦政府は2020年6月、国家エネルギー気候計画(NECP)を策定し、欧州委員会(EC)に提出した。欧州委員会はEU加盟各国のNECPを比較し、初回の評価を実施する。すべてのEU加盟国は2021年から2030年までのNECPを策定し、実行計画を明らかにすることになっている。
2020年6月10日にまとめられたドイツのNECPは、「2010年エネルギーコンセプト」、「2030年気候保護プログラム」、および「2050年エネルギー効率戦略」など多岐にわたる国家戦略、目標、対策に基づいたものとなっている。
エネルギー効率については、2008年と比較して2030年までにエネルギー消費量を30%減らし、再生可能エネルギーの比率を2030年までに30%まで拡大する。
国内の温室効果ガス排出量については、1990年と比較して2030年までに55%削減し、長期的な目標としては2050年までにニュートラルにすることがまとめられている。
〔JARN August 25, 2020〕
7.米国冷凍空調工業会(AHRI) アラブ首長国連邦のドバイに事務所を開設
米国冷凍空調工業会(AHRI)はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに事務所を開設した。中東および北アフリカ(MENA)地域における製造業者、政府、および非政府団体との関係を深めることにより、AHRI会員と認証プログラム参加者に対する利益を促進する。「ドバイ事務所はAHRIのグローバルな活動を拡大し、製造業者や規制当局、その他の利害関係者との良好な関係を育成するよい機会となる」とAHRIのスティーブ・ユーレクCEOは述べている。
事務所は、冷凍空調とエネルギー効率での経験が豊富で戦略的経営のエキスパートであるフランソワ・ボーエリ氏に率いられ、重要な現地および地域の問題に詳しいスタッフを抱えている。スタッフは冷凍空調にとって重要な地域の言語を話すことができる。ボーエリ氏はダイキン・マッケイ中東の元社長であり、ドバイ事務所の副社長となる。
事務所は、中東および北アフリカ諸国の冷凍空調産業界が、増加する規制や認証プログラムの課題に取り組むのを助けることになる。またこの事務所があることにより、AHRIはサハラ砂漠以南のアフリカ地域や南アジアなどMENA地域に隣接した地域の活動をモニターすることができ、これにより新たな機会を特定することができる。
〔JARN August 25, 2020〕
8.中国 VRFシステムの販売 5月に回復
ChinaIOL.comの統計によると、中国のVRFシステムの販売は2020年の4月と5月に増加となった。5月のVRFの販売は51.8億元(約812億円)と年率0.4%増加。国内販売は1.1%伸びたが輸出は8.3%の落ち込みであった。国内市場は堅調であったが、海外市場は新型コロナウイルスの影響が大きかった。
ミニVRFの5月の販売は26.7億元(約418億円)で年率10.1%の伸びとなった。オンラインでの販売促進と空気清浄や殺菌機能に対する需要の高まりが増加に寄与した。
一方、VRFの販売価格は年率で8.2%の減少となった。これは新型コロナウイルスの影響により、料理サービス、娯楽、教育、およびショッピングなど多くの中小プロジェクトに対する需要の減少と投資の低下が原因になっている。
新型コロナウイルスの感染が下火になってきたことにより、不動産業界が5月に回復してきた。これに加えて、国内需要の拡大と消費の喚起という政府方針によりVRFの需要が高まった。2020年後半においてもインフラやレトロフィットプロジェクトの建設が予定されており、これがさらにVRFの商機につながるものとみられている。
〔JARN August 25, 2020〕
9.中国 2020年前半の販売 ヒートポンプ冷暖房給湯機(ATW)が好調
airco.com.によると2020年の前半、中国の業務用エアコンの市場規模は新型コロナウイルスによる影響で年率14.9%の減少となった。なかでもスクリューチラーとファンコイル、エアハンなどは年率20%、ターボ冷凍機は年率15%、吸収式冷凍機、マルチエアコン、モジュラーチラーなどは年率約12%のそれぞれ減少となった。
これに対してヒートポンプ冷暖房給湯機(ATW)のみが前年を上回り、年率12.5%の増加であった。ATWは市場でのシェアも2.1%増やしており、これには主要ブランドによる販売促進、販売チャネルの開拓、不動産業界や顧客の間で製品についての認知度が高まったことなどが寄与している。特に住宅設備市場で、消費者の生活レベルの向上もあり、より快適なATWが多くの消費者の最初の選択肢となっている。2020年の後半においてもATWは成長を維持するものと期待されている。
〔JARN September 25, 2020〕
10.中国 「データセンター・クーリング&省エネルギー・フォーラム」が河南省鄭州で開催
‘グリーン、安全、エネルギー節約’をテーマとした第3回データセンター・クーリング&省エネルギー・フォーラムが中国河南省鄭州で開催された。フォーラムは中国暖房換気空調イノベーション・アライアンス、中国ビルリサーチ・アカデミー、その他の研究所が主催した。多くの大学、企業、メディアが支援し、中国モービル、中国テレコム、中国情報技術デザイン&コンサルティング研究所、ファーウェイ、および華中科技大学、湖南大学から多くの著名な専門家や学者が出席した。第5世代移動通信システム(5G)と新しいインフラの構築を考慮し、プレゼンターはデータセンターの冷却について、エネルギー節約、最先端技術、設計、操作、および維持管理を含めた将来の技術開発のトレンドについて意見を述べ合った。
〔JARN September 25, 2020〕
計画した投資額35億元(約550億円)により、南沙国際コールドチェーンプロジェクトは港の冷蔵貯蔵容量を46万トンまで増加することを狙いとしている。プロジェクトには、8階建ての冷凍倉庫6棟、1,880個の冷凍コンテナ冷凍機用電源プラグを備えた冷凍コンテナヤード、20フィートコンテナ換算で430コンテナ(TEUs)の収容能力、およびデモンストレーション用のビルを含んでいる。
装置は来年から開業する計画になっている。このプロジェクトにより南沙は海外からの肉、海産物、果物、および野菜の主要な入国港となる。港の種々の輸送ネットワークにより輸入された生鮮食品は1時間以内に珠江デルタ地域の5億7千万人の消費者に届けられる。また効率的に鮮度を保持したまま全土に輸送される。
〔JARN August 25, 2020〕
12.タイ 冷凍空調産業の7団体が共同して業務にあたることで覚書を締結
タイで冷凍空調産業に係わる7つの団体が8月7日、タイ冷凍空調連合のもと共同して業務にあたることで覚書を結んだ。7つの団体は、冷凍空調産業クラブ、タイ冷凍協会、タイ空調学会、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)タイ支部、タイ空調貿易業協会、タイ機械電気コンサルティングエンジニア協会、およびタイ電気機械工事業協会。第1期の会長としてアラン・アイムサリー氏が任命された。
■過去の記事
2020年 9月号(No.672)はこちら
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