現在コロナ禍でありながら、2017年より今もドイツ駐在中のパナソニックの小林様に現地での生活についてご寄稿いただきました。では後編をご覧ください。 前?
念願の欧州駐在、ゼロスタートからの挑戦「私の海外駐在記~ドイツ~後編」パナソニック株式会社 小林賢二
No.675 2021年3月
現在コロナ禍でありながら、2017年より今もドイツ駐在中のパナソニックの小林様に現地での生活についてご寄稿いただきました。では後編をご覧ください。
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■ノルウェー駐在記(日冷工 坪田)
1.生活騒音に敏感なドイツ人
ここでは、住まい(アパート)、食べ物、休日の過ごし方など、フランクフルトでの毎日の生活についてご紹介したいと思います。
住まいは日本人が多く、買い物などに便利なフランクフルトで探しました。フランクフルトの中心部まで徒歩で20分程度ですが、周りに公園があり、落ち着いた雰囲気の場所にあるアパートに決め生活をスタートしました。地上5階建てで地下2階まであり、地下2階に駐車場があります。ドイツに限らず欧州は地下室がある住居が多いようです。アパートの地下にはケラーという物置があり、普段使わないものや気温変化が少ないのでワインを保管している人が多いようです。
写真1:地下の洗濯室
ドイツ人の特徴の一つは騒音に非常に敏感なことです。夜や休日は特に騒音発生は厳禁です。また、少々不便だなと思うのですが、住んでいるアパートでは洗濯機は部屋の中ではなく地下の洗濯ルームに設置されています。最近のアパートは室内に洗濯機がありますが、夜間に洗濯しないなど住人同士が快適に生活するためのルールを守ることが求められます。
2.ドイツはやっぱりビールとソーセージ?
ドイツの食べ物といえば、やはり、ハムやソーセージ、ジャガイモ、塩辛い食べ物に合うビールが定番ですが、ハンブルグなど北部の海に近い地域では魚料理も多いと聞きます。ドイツの白ワインをはじめ、フランス、イタリアなど各国のワインの品揃えが豊富で、欧州各地のいろいろな種類の乳製品なども質の良いものが手頃な価格で購入できるのが魅力です。
写真2:ニュルンベルグソーセージとプレッツェル
ほかにドイツの食べ物では、鴨肉(Ente)とホワイトアスパラ(Spargel)がお勧めです。Enteは、牛肉、豚肉、鶏肉と並んでほとんどのレストランで扱っており、表面の皮をパリッと焼いたものが出てきます。Spargelとイチゴはドイツの春の訪れを感じる食べ物で、季節限定の屋台も出て大人気です。
写真3:イチゴやアスパラガス(Spargel)を売る屋台
3.日曜日は閉店法により飲食店以外はしまっている。
休日の過ごし方ですが、日曜日は閉店法によりレストラン以外はほぼ完全に閉まってしまいます。日本のようにコンビニや深夜営業の店はなく、平日に買い物には行きづらいので、土曜日に1週間分の食料や生活必需品店で車でまとめ買いに行きます。日曜日は、安息日。家族でゆっくり過ごすための日という考え方が根付いており、午前中は車も人もほとんど動かず、午後になって近くの公園に散歩に行くというのがドイツの人の日曜日の過ごし方のようです。
4.週末はのんびりとゴルフ
下手ながら、ゴルフが趣味ですので体を動かすという名目で、よい季節の日曜日はゴルフに行っています。ドイツのゴルフは、18ホール続けて回り、すんなりいくと3-4時間で終わりますので、半日かかるイメージです。湿度が低く、比較的フラットなコースが多いため、ほとんどの人はカートを押したりクラブを担いだり徒歩でのラウンドです。ゴルフ場に来ている方は年齢を重ねた夫婦が多く、まさに健康維持のためのゴルフという印象を受けます。
写真4:ドイツのゴルフ場、歩いて回ります
5.骨董市が定期的に開催、モノを大事にする気質
他に、日曜日の数少ないイベントで、骨董市、ガラクタ市(フローマルクト)が定期的に各地で開催されています。絵画、置物、食器、家具、ランプや工具、農機具、おもちゃなどいろいろなドイツの古いものがあり、ドイツの少し前の生活の様子を感じることができます。正直なところ、アンティークというより中古品といったほうがよさそうなものが多いですが、使い捨てではなくモノを長く大事に使うという気質が表れているのかもしれません。
写真5:ヴィースバーデンのアンティークマーケット
6.フランクフルト近郊、1時間でいける観光スポット
ドイツに旅行されたことのある方も多いと思いますし、ノイシュヴァンシュタイン城やケルン大聖堂、ミュンヘンのオクトーバーフェストなどはテレビなどでもよく紹介されていますので、フランクフルト近郊の1時間程度で行ける場所をご紹介します。
フランクフルトの中心はあまり大きくなく、半日あれば十分、徒歩で見て回ることができます。写真はレーマー広場で、昔のドイツの特徴的な木組みの家が並んでいて、たくさんの観光客が訪れます。ライン川沿いの散歩や旧オペラ座、ゲーテハウスなど、ドイツの雰囲気を感じることができると思います。
写真6:フランクフルトレーマー広場
フランクフルトからライン川の上流の車で約1時間のところにリューデスハイムという町がありたくさんの観光客が訪れます。リフトで上がった小高い丘の上から、天気の良い日はライン川、ワイン畑、対岸を一望し爽快な景色を見ることができます。ドイツは白ワインが有名ですが、品質の良い大きなワイナリーがいくつもあり、有名なローレライやライン川沿いの町や建物が見られる観光船も出ています。
写真7:ライン川リューデスハイム
ヨーロッパにいますとどこの町にも教会がありいろいろな教会を見てきました。壮大なものや特徴のある建築、色鮮やかなステンドグラスなど見どころはたくさんありますが、見てきた中で一番印象に残っているのはフランクフルトから30分程度で行けるマインツにある教会です。それほど大きな教会ではありませんが、中に入るとシャガールのステンドグラスに太陽の光がさして作られる、神秘的で何とも言えない雰囲気のブルーの別世界で、感動を覚えます。
写真8:マインツの聖ステファン教会
7.駐在員家族、冬の一大イベント、クリスマスマーケット巡り
ドイツ観光で有名なクリスマスマーケットは寒い夜にきれいなイルミネーションやライトアップが印象に残りますので特に女性におすすめです。12月にはどこの町でも開かれていてそれぞれ特徴がありますのでクリスマスマーケット巡りは駐在員家族の冬の一大イベントです。とにかく寒い時期になりますので風邪をひかないようにしっかり着込んでお出かけください。
写真9:ヴィースバーデンのクリスマスマーケット
8.マスクを着けたがらない欧州の人
仕事ではドイツに限らず欧州を飛行機で飛び回り、プライベートでは車で長時間運転もいとわず、あちこち出かける生活を送ってきましたが、2020年は残念ながらコロナのため出張にも遊びにも行くことができず仕事はほとんどホームオフィスでパソコン画面を通しての会話となり、せっかく駐在しているのに…と思う毎日でした。
欧州の人は相手の心境を口元で読むのでマスクは着けたがらないと聞きましたが、流行当初は確かにほとんどマスクをする人は見かけず、そもそもマスク自体をドラッグストアでほぼ販売していませんでした。これだけが原因ではないと思いますが、結果的に欧州でのコロナ大流行、ロックダウン、渡航制限など厳しい規制が続く一年となってしまいました。今では、マスクは着用が徹底され、ワクチン接種も始まりますので、21年は少しずつ元の生活に戻りいろいろな人と交流できるようになると思っています。
写真10:クリスマスのモニュメント
9.言葉の不安、でも大きく成長させてくれる海外での仕事
出張では何度もドイツに訪れていましたが駐在生活を経験してだいぶ印象は変わりました。ドイツ人だけでなくいろいろな国の人たちと会話をする中で国民性やその背景にある歴史などを感じることができ、少しは駐在前とは違った見方や考え方ができるようになったかなと思いますし、仕事などを通じて海外の人の役に立ち感謝されると何とも言えない達成感ややりがいを感じられます。
海外というと言葉などの面で抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、もし海外駐在のチャンスがありましたら、成功も失敗もあると思いますが、ぜひ、積極的にチャレンジしてみてください。きっと、人生の貴重な経験になるはずです。
以上
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