海外短信

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No.685 2022年7月

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1.三菱電機 新商品投入によりタイでの地位を強化
三菱電機のタイ販売会社である三菱電機カンヨンワタナは2022年に5つの分野で新たな製品を販売し、タイの空調機市場でリーダーとしての地位を強化する。新製品はミスタースリムパッケージエアコンのMシリーズ、ルームエアコンのAWシリーズ、2ドア冷蔵庫のFS45とFC38モデル、モダンなデザインの換気扇、及びウイルス対策空気清浄機。

新製品に加えて、同社は事業基盤を強化するために物流とアフターサービスを向上している。2019年に設置したこれまでの北部ランパンの物流拠点倉庫に加えて、2021年11月に北東部コーンケンにも同様の倉庫を設置した。これらの物流拠点倉庫により劇的に配送リードタイムが短縮した。また6,000万バーツ(約2億26百万円)を投資してオンライン・サービス・システムを構築した。これにより修理対応スピードを大きく改善することができた。

更に消費者の同社製品に対する認知度を上げるために10億バーツ(約38億円)以上の販売投資を行う。同社はこの戦略により2022年の販売を前年比で120%以上増加させることに自信を深めている。


三菱電機 タイで新商品を投入

〔JARN, April 25, 2022〕




2.ジョンソンコントロールズ日立空調 米国テキサス州ダラスの本部をショールームとトレーニングセンターに改修
ジョンソンコントロールズ日立空調は、米国テキサス州ダラス郡アービングの本部を没入型バーチャル・ショールームとトレーニングセンターに改修した。4月20日にオープンした新しいカスタマー・エクスペリアンス・センターは、2室のショールームに業務用、小型業務用、及び住宅用ダクトレス空調機器を展示しており、対話型の最新のトレーニング・ラボの中で運転もできるようになっている。

グランドオープニングではテープカットを行い、同社の秋山勝司副社長兼執行役員がタウン・ホール・セッションを開催した。“我々の業務スタイルはパンデミックの間にリモートスタイルへと変わったので、本部ビルはほとんど使わなくなった。これを機会にどのようにしたら我々のパートナーや顧客により製品を知っていただくことができるのかと思考した結果、新しいカスタマー・エクスペアリアンス・センターが明快なその答えであった”と述べている。

床面積966㎡の2室のショールームは日立とヨークのダクトレスタイプ全製品のショーケースとなっている。革新的なトレーニング・ラボは実際に日立とヨークの製品を使って建設業者、技術者及び設置業者に対して実地訓練をおこなうことができる。

〔JARN, May 25, 2022〕




3. ダイキン 欧州向けルームエアコンが「レッド・ドット・デザイン賞2022」と
「iFデザイン賞2022」を受賞
ダイキンの欧州市場向けルームエアコン‘Daikin Emura’が世界的に権威のある「レッド・ドット・デザイン賞2022」と「iFデザイン賞2022」を受賞した。
‘Daikin Emura’はダイキン欧州グループと親会社であるダイキンのテクノロジー&イノベーション・センター(TIC)とのコラボレーションにより開発された。特に欧州市場の需要に対応して設計されたもので、高いデザイン品質と機能性を組み合わせたものとなっている。

ダイキンTICのプロダクト・デザイナーである小菅啓靖氏は「このエアコンはダイキンの気候変動に対する最初の答えだ。3色のカラーを選べる壁掛型室内機だけでなく、リモコンと室外機はヨーロッパの建築風景とユーザーの要求にマッチしている」と述べている。

ダイキンチェコのEMEA開発センターの開発スーパーバイザーであるトマス・ズボルニク氏は「Daikin Emuraは高いデザイン性と高い機能性を組み合わせたものだ。すべての季節に対して省エネルギーと快適性を提供している。我々の環境技術はR32冷媒とスイング圧縮機を用いて、トップクラスの性能を保証し、季節効率は欧州規格A+++であり、環境への負荷も小さい」と述べている。

〔JARN May 25, 2022〕




4.パナソニック 「ナノイーX」により乗用車の空気質を向上
パナソニックのナノイーXがジャガーランドローバーの新型車レンジローバーに採用された。ナノイーXはバクテリアとウイルスを抑制し、臭いを除去する。この技術は水に含まれるOHラジカルを大量に放出することにより効果を発揮している。バクテリアとアレルギー物質を抑制し、周辺空間の臭いを除去する。

パナソニックと英国のジャガーランドローバーとのコラボレーションにより、ナノイーXは新型車レンジローバーの車内空調システムとして採用された。更に新型車I-PACEエレクトリック・パフォーマンスSUVやディフェンダーなどのランドローバーのラインアップでも車内の空気質の向上を図るナノイーXの技術が採用される。




ジャガー「ランドローバー」の新型「レンジローバー」
パナソニックの「ナノイーX」を採用して空気質を向上

〔JARN, April 25, 2022〕




5.東芝キヤリア英国 冷媒R32を使用したヒートポンプ暖房給湯機(ATW)を発売
東芝キヤリア英国は最新世代のヒートポンプ暖房給湯機(ATW)を発売した。冷媒はR32を使用し、高効率で住宅用及び小規模業務用として年間を通じて快適さを提供する。容量は4kWから11kWまでで4機種となる。更に大きな機種についても近々発売の予定。

商品性の高さは東芝のツインロータリー圧縮機にあり、これによりシステム効率が高く欧州規格でA+++を獲得している。圧縮機の性能の高さにより暖房運転時に寒冷な天候で外気温度が-25℃まで下がっても62℃の出湯が可能である。また外気温度が43℃まで上昇した場合でも給湯が可能であり、運転経費を大きく節約している。

〔JARN, May 25 2022〕




6.欧州各国 ヒートポンプに対する補助金を強化 
■フランス
フランス政府はリノベーション補助金の額を1,000ユーロ(約14万2千円)増額した。これにより最低収入の世帯でもヒートポンプを採用する方が得になることになった。リノベーション補助金はこれまで8,000ユーロ(約113万5千円)であったが、9,000ユーロ(約127万7千円)に増額された。ヒートポンプの価格が12,000ユーロ(約170万4千円)の場合、補助金により自己負担の金額は3,000ユーロ(約42万6千円)となる。これはガスボイラの設置費用と同額であり、エネルギー料金はヒートポンプの方が安い。

■英国
英国では政府がボイラ・アップグレード・スキーム(BUS)を始めた。冷暖能力を最大45kWとして、設置者には空気熱源ヒートポンプ(ASHP)の場合5,000ポンド(約82万7千円)、地中熱源ヒートポンプ(GSHP)の場合は6,000ポンド(約99万2千円)が補助される。

■イタリア
イタリアでは政府がスーパーボーナス110インセンティーブを発表した。ヒートポンプの設置に対して110%の税控除を行う。コンドミニアムやアパートに対しては2023年末まで適用され、その後2024年には70%、2025年には65%まで減額される。一戸建て住宅とヴィラについては2022年の末までの適用となる。

〔JARN, May 25 2022〕




7.米国ハネウェル スーパーマーケット向け新冷媒ソルスティスN71(R471A)を発売
ハネウェルが業務用及び産業用冷凍として新冷媒ソルスティスN71(R471A)の発売を発表した。スーパーマーケット用に最適化されている。ハネウェルの低GWPソルスティスのラインアップに加えられた最新の冷媒で、不燃性(A1)でGWPは148。ハイドロフルオロオレフィン(HFO)冷媒R1234ze(E)とR1336mzz(E)、及びハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒R227eaのブレンドとなっている。

ハネウェルによると、ソルスティスN71は中温用途に優れた性能を持っており、R404Aを用いた同様のシステムと比較して13%省エネになっており、CO2冷媒を使用したシステムより30%省エネになっている。以前ハネウェルはR404A(GWP3,922)を代替するソルスティスN40(GWP1,273)を発売した。N40は2015年の発売以来R404Aを代替するために世界で6万店以上のスーパーマーケットの冷凍装置で使用された。

新規のシステムで冷媒のGWPを150以下に制限する規制がカリフォルニア州及びそれ以外の州でも施行されており、米国環境保護庁(EPA)も2024年を目途に全米での同様の規制を検討している。ソルスティスN71はスーパーマーケットやその他の小売店にとってこれらの規制に適合するひとつの解となっている。

〔JARN April 25, 2022〕




8.米国環境保護庁(EPA) エネルギー・スター・ホーム・アップグレードを開始 
米国環境保護庁(EPA)がエネルギー・スター・ホーム・アップグレードの開始を発表した。電力需要の低減と電気料金を節約するために案出された一連の改善となっている。これまでのEPAのエネルギー・スター・プログラムの拡張として、ホーム・アップグレード・プログラムは住宅の所有者にターゲットを置いている。

6つの住宅改善からなっており、電力需要を減らし、コストを下げ、化石燃料の消費を減らす助けとなっている。これらの改善により住宅のエネルギー料金は年間平均して500ドル(約6万8千円)減額するものと推定されている。

6つの改善項目は次の機器の採用および住宅の改修となっている。
・エネルギー・スターの認証を受けた空気熱源ヒートポンプ
・エネルギー・スターの認証を受けたヒートポンプ給湯機
・エネルギー・スターの認証を受けたスマート・サーモスタット
・エネルギー・スターの認証を受けた窓及び雨戸
・よく断熱及び防水された屋根裏
・住宅に設置された電気自動車用の充電器
エネルギー・スター・ホーム・アップグレードにはこれまでのユーティリティ・リーベート・プログラム、連邦政府のインカム・タックス・クレディット、また州及び連邦政府のインセンティーブ・プログラムが適用される。



エネルギー・スター・ホーム・アップグレード
は6つの住宅改善により構成されている

〔JARN, April 25, 2022〕




9.米国カリフォルニア州大気資源局(CARB)現行規則を改正輸送用冷凍機や港湾施設などのゼロエミッション化を加速
米国カリフォルニア州大気資源局(CARB)は同州内で稼働する輸送用冷凍機についての現行規則の改正を承認した。本改正は大気汚染を減らし、ゼロエミッション技術への移行を加速することを目的としている。

改正規則では、輸送用冷凍機の所有者はカリフォルニア州で運転するすべての輸送用冷凍機をCARBに報告することを要求されている。これには州外に拠点を置く業者も含まれる。また輸送用冷凍機の所有者は今後7年間は、カリフォルニアで運転するトラック輸送用冷凍機の少なくとも15%は毎年ゼロエミッション技術に代替することが求められている。カリフォルニアで運転されるすべてのトラック輸送用冷凍機は2029年末までにゼロエミッションとなる。

新しい改正では低GWP冷媒の使用も要求している。2022年12月31日の時点で、新しいトラック輸送用冷凍機、トレーラー輸送用冷凍機、及び国内輸送コンテナ用冷凍機はGWP2,200以下の冷媒を使用するか、又は冷媒をまったく使用しないものとすることが求められている。

また本改正では、冷凍倉庫や配送センター、食糧雑貨店、港湾施設、一貫輸送車両基地の所有者は、2023年12月31日から、CARBに登録し、そこで稼働するすべての輸送用冷凍機を報告しなければならない。これらの代わりとして、その場所で稼働する輸送用冷凍機はすべて適法であることを立証することで代替することも認められている。

〔JARN, April 25, 2022〕



10.中国 2022年第1四半期 ルームエアコンの国内販売台数 27%ダウン
輸出は7%増加
チャイナ・マーケット・モニターのデータによると、2022年第1四半期にて、ルームエアコン(RAC)の中国における国内販売は752万台となり、金額ベースでは284億元(約5730億円)となった。前年同期比では順に26.8%、18.8%といずれもダウンであった。販売全体の中でオンライン販売の占める割合は台数ベースで33.6%、金額ベースで29.1%であった。2022年第1四半期の国内市場で販売が下がった原因はいくつかあるが、主となるものはパンデミックの再流行であった。

RAC産業の上流では、原材料の価格が過去2年間上がり続けており、今年状況は更に悪くなった。ウクライナ危機を発端として銅、アルミなどの価格が上がっている。2022年の第1四半期に銅の価格は年率18%上がり、アルミの価格は年率56%上昇した。

このように厳しい市場環境において、中国の製造業者はRACの価格を今年5%から10%上げようとしている。オンラインで販売されているRACの価格も上がる見込みだが、それでも小売店での販売価格よりも低い。オンライン販売を主としている製造業者にとっては大きな課題となっている。

中国税関によると、2022年第1四半期の中国からのRACの輸出は2,229万台で前年比7%の増加であった。多くの海外諸国はパンデミックの主要な影響を抑えることができており、最近は多くの経済活動を再開し始めている。これらが過去2年間で初めてRACの需要を押し上げている。

〔JARN, May 25, 2022〕




11.インド 2021年空調機市場は力強く回復
インドでの空調機の販売数量は2020年、パンデミックに伴うロックダウンにより大きく落ち込んだ。しかし、2021年には力強い回復を示した。JARNのデータベースによると、インドにおける空調機の販売数量は2021年に前年比で31.6%の増加となった。

2021年、ルームエアコン(RAC)も大きく回復した。インドのRAC市場では壁掛型セパレートタイプが最も売れ筋の機種となっている。この分野でインバータ比率は50%を超え、R32冷媒の構成比は70%を超えている。このトレンドにより、インドはアジアの中で環境に優しく、省エネルギータイプのRAC販売の成功例となっている。人口が14億人弱と世界で第2位の人口を誇るインドにおいてRACはまだ十分に普及していない。インドのRACの潜在需要はまだ大きい。

RACと同様に、VRFシステムの販売も回復してきている。VRFとミニVRFは業務用だけでなく住宅用としての使用も増加し始めている。JARNのデータベースによると、2021年VRFの販売数量は前年よりも25.6%増加した。

ミニVRFはVRF市場ではまだわずかなシェアでしかないが、コンドミニアムやシングル・ファミリーの高級住宅での需要が増えている。デベロッパーが差別化するために高級住宅にミニVRFを初めから据えつけて住宅を販売するという例も増えている。

V字回復を示すインドの空調機市場

〔JARN, April 25, 2022〕


過去の記事
■2022年 5月号(No.683)はこちら
■2022年 3月号(No.682)はこちら
■2021年11月号(No.680)はこちら


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