インド 大気汚染への対策として空気清浄機がブームに
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No.689 2023年3月

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■空気清浄機の需要が上向く

インドのデリー首都圏(NCR)及び隣接地域における空気清浄度が2022年11月、警報レベルに達した。このため、
空気清浄機の販売が上向き、いくつかの製造業者は今シーズン2桁の伸びを予想している。空気清浄機の市場規模は50億インド・ルピー(約81億円)弱であり、主に大都市圏で販売されている。11月から12月に空気質指数(AQI)が警報レベルに達すると、需要が急伸した。

中央公害管理局(CPCR)の最新のデータによると、スモッグの厚い層が継続してこの2か月間デリー周辺を覆い、すべて地域でAQIが‘危険’区分となった。AQIが401から500の区分は危険とされている。


■家電メーカーの反応

8年ほど前、デリー首都圏及び隣接地域で11月と12月にAQIが警報レベルとなって以来、空気清浄機ビジネスが注目されだし、いくつかの企業がこの事業に参入してきた。
 
LGインド家電空調事業の副社長であるディーパック・バンザル氏は「現在、消費者は大気汚染への対策を探している状況であり、これが空気清浄機の販売を押し上げている。空気清浄機の販売は2桁の伸びを示しており、特にデリー首都圏ではそれが顕著だ」と述べている。
 
「過去4年間、デリーでスモッグが発生した時は空気清浄機の需要が急に伸びることがあった。冬が到来すると更に空気の質が悪化し、これが原因となって空気清浄機の販売が増加している」とケントROシステムの会長執行役員であるマーシュ・グプタ博士は述べている。
 
今年の初めインド市場に再参入したエレクトロラックスインドは、空気清浄機分野は単なる季節商品ではなく長期的に顧客が存在する分野だと期待している。「冬が始まると共に、特に北部地方では空気清浄機に対する需要が著しく高まる」とエレクトロラックスインドの商業部長であるサドヒール・パティル氏は述べている。
 
ダイソンのエンバイロンメンタル・ケアの設計部長であるムザッファル・イザムディン氏は「毎年この季節になるとAQIレベルが上昇してくる。今年も例外ではない。個人的な大気汚染への対策はいくつかあり、定期的な毎日の屋外での活動を少なくすることや室内空気については空気清浄機を使うことだ」としている。

 
■今後の動向

当初、インドにおける空気清浄機の販売はデリー首都圏に限られていた。しかし今年は、チャンディーガル、ルディヤーナー、ジャランダル、アムリトサル、ラクナウ、及びカーンプルなど周辺都市においても需要が高まっている。
 
しかし、市場で販売されている空気清浄機の品質に対する懸念も起こっている。これは店頭販売でもオンライン販売でもだ。ブルースターの管理部長であるB.ティアガラジャン氏は、政府が空気清浄機に用いるフィルターの標準を制定してはと提案している。そうすれば技術が分からない消費者でも適切な商品を選択することができる。現在、空気清浄機はオンライン販売と店頭販売で、高効率(HEPA)フィルターや紫外線(UV)フィルターなどの機能部品が装着されて、2,000インドルピー(約3千円)から98,999インドルピー(約16万円)の価格幅で販売されている。
 
家電・機器製造業協会の会長であるエリック・ブラガンザ氏は市場規模について「空気清浄機はとても小さな市場であり、供給業者のほとんどが製品を中国かその周辺国から輸入している。空気清浄機の販売機会は非常に小さく、基本的に汚染レベルが増加するこの季節だけだ」と述べている。
 
最近、パナソニックなどいくつかの企業がこの分野に興味を示している。現在パナソニックは空気清浄の機能をスマートエアコンに持たせている。またエアコンのリーダー企業であるブルースターやボルタスなどもルームエアコンの高級機に空気清浄機能を組み込んでいる。

〔出典:JARN December 25, 2022〕

過去の記事
■2022年11月号(No.687)はこちら
■2022年 9月号(No.686)はこちら
■2022年 7月号(No.685)はこちら

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