第13回通常総会 澤井新会長 就任挨拶

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No.698 2024年6月

2024年6月7日(金)、東京マリオットホテルにおいて第13回通常総会を開催しました。以下、澤井新会長の就任の挨拶をご紹介いたします。


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写真1:澤井克行 新会長


ただいまご紹介にあずかりました、ダイキン工業の澤井でございます。尋木前会長が、「肩の荷が下りた」とおっしゃいましたが、私の方に重いものが乗っかってきたという思いで、責任の重大さを痛感している次第でございます。

まず初めに、今年の元旦に発生しました能登半島地震に際しまして、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げております。

先ほどの理事会において、ご推挙いただき、会長に指名をいただきましたことを、まず皆様にご報告申し上げるとともに、会長という大役を仰せつかる責任の重さを考えますと、本当に身の引き締まる思いでございます。皆様これから2年間どうぞよろしくお願い致します。

それでは、一言ご挨拶申し上げたいと思います。

本日本当にお忙しいところ、経済産業省の安田課長様、大森課長補佐様、田中係長様、また多くの皆様のご臨席を賜り、誠にありがとうございます。日頃より当会の活動に関しまして、絶大なるご支援を賜り、心より御礼を申し上げたいと思います。

また、先ほどご挨拶をいただきました尋木前会長におかれましては、ご在任中、当工業会の主要テーマでございます、地球環境問題への適切な対応、規格基準への対応をはじめとする多くの課題に加えまして、さきの欧州Fガス規制の改正に向け、経済産業省様、日本政府、EU代表とともに、日本の産業界の懸念点を表明いただくなど、冷凍空調業界を取り巻く、国内外の目まぐるしい動きに対し、常にリーダーシップを発揮いただきました。

また昨年度は、環境と新冷媒 国際シンポジウム2023、HVAC&R JAPAN2024開催年でございましたが、いずれもCOVID-19前同様の、リアルでの開催をご決断いただき、来場者数は過去最高を記録する盛況ぶりとなり、当工業会に対し、広く社会に関心をお寄せいただくことになりました。改めて会員企業を代表し尋木会長には多大なるご尽力いただきましたことに厚く御礼を申し上げたいと思います。

さて日本におきまして、COVID-19の五類への移行以来、経済はゆるやかな回復傾向を取り戻しつつあると言われております。

しかし、原材料高騰でありましたり、それに起因する物価高、またサプライチェーンの複雑化というものは継続をしております。世界では、政策リスク、欧米の金融政策動向における先行きの不透さ。中国他の主要な新興国成長見通しの弱さ等で、まだ混とんした状況でございます。

また一方、地球環境に目を向けますと、気候変動に起因する大規模な自然災害、感染症、食料エネルギー問題等、国境を越え人類が直面する課題、これは年々深刻さを増していると言わざるをえません。

これらを一国のみで解決することは不可能でございます。国際社会の一致団結した取組が待ったなしということではないでしょうか。

また環境問題の解決は、今世紀の人類にとって、もっとも重要なテーマの一つでございますが、我々冷凍空調業界は、ほんとに密接な係りがございます。

皆様も当然、ご存じのとおり、空調機器につきましては、熱中症の予防、空気質の改善を通して人々の健康に寄与しておりますし、冷蔵冷凍品につきましては、食品の安心安全を担保していると思います。本日お集まりの方々については、皆様ご存じの方多いと思いますが、シンガポール建国の父、リー・クアンユー首相の「エアコンがなければ、シンガポールの発展はなかった」という言葉が有名でございます。

この地域の室内環境の変革をもたらして、労働効率を向上させて、多くの地域で社会を支えるインフラの一つとして定着しています。しかし、その一方で、エネルギーを多く消費いたします。空調機器に使用される冷媒の地球温暖化への影響も小さくありません。

IEAの報告におきましても、この先2050年までに世界の空調需要は3倍に増えると言われています。昨年12月にドバイで開催されましたCOP28におきましては、気候変動対策における空調の役割に焦点が当たったことは記憶に新しいと思います。

COP28におきましては、国連環境計画、UNEPおよび議長国UAEが主導する、国際イニシアティブ、グローバルクーリングプリッジ、これが発表され、冷凍空調は地球規模での環境を考える上で最も重要なテーマとして認識されたと思います。

こうした状況を踏まえ、当工業会は地球環境問題への適切な対応、規格基準への対応、安全性への取り組み、国際活動の推進強化、これらを柱にして業界が直面する諸課題に取り組んでまいりたいと思います。

地球環境問題への適切な対応につきましては、当工業会に対して、キガリ改正への対応と2050年カーボンニュートラル、これの実現に資する製品の開発普及への責任と期待が高まっていると実感しております。

省エネルギー化への対応でありましたり、HFC生産量・消費量の削減、冷媒回収再生、冷媒の低GWP化、冷凍空調業界に課されたテーマを本当に重点課題ととらえ、取り組んでまいる所存でございます。

冷媒に関しましては、昨今さらなる低GWP化への議論が国内外において、活発化をしています。省エネ環境技術で世界をリードしてきた、日本の業界としては、言わずもがなでございますが、消費者重視の視点に立って、積極的に冷凍機器の安全確保につとめ、遵守すべき安全規格の確認、サービス・廃棄等についても、担当省庁とも対応協議を継続し、必要に応じて国際的な立場で、情報発信を行うことを進めていきたいと思います。

また規格基準への対応につきましては、ISO,IECなどの国際規格に対しまして、引きつづき、日本の業界代表として、迅速かつ計画的な参画を行っていきます。我が国の意見がより多く反映されるような国際活動を進め、当業界の継続的な発展に寄与すると供に、日本の優れた環境技術、これの普及促進を通じて、持続可能な社会の実現に寄与できるよう努めてまいりたいと思います。

一方ですでにグローバル経済の成長の軸は、これは先進国ではなく、グローバルサウスの国々に移行していると言われています。サプライチェーンの複雑化、資源エネルギー情勢の変化、世界情勢の多様化など、私たちを取り巻く環境は著しく変化しております。

決して楽観できる状況ではございませんが、省エネ技術、ヒートポンプ技術に代表される環境技術という、世界に確たる強みを有する当工業会の会員企業、我々にとって、今こそ世界に先んじてリーダーシップを大いに発揮できるチャンスではないかと思います。

今後とも、会員の皆様との密接な連携を基盤に、当工業会としての重点課題に対し、積極的取り組んでまいりたい。地球環境問題への貢献、日本の産業競争力、国力の位置向上への寄与、並びに工業会としてのガバナンスの充実に努めていきたいと思うとともに、当工業会の会員企業のさらなる発展、地位向上を目指し、微力ではございますが、会長職を全うする、全力を傾注する所存でございます。

経済産業省ならびに環境省の皆様からの引き続きのご指導ご鞭撻、ならびに会員の皆様方のご支援ご協力を賜りますようお願いを申し上げまして、会長就任の挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。


以上
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