2024年度 省エネ大賞
省エネルギーセンター会長賞
三菱電機株式会社

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No.703 2025年3月

【製品・ビジネスモデル部門】
人の感情を推定し快適性と省エネ性を高めたルームエアコン「霧ヶ峰 Zシリーズ」


1.はじめに
近年、身体的・精神的・社会的に満たされる状態を指す概念「ウェルビーイング」に貢献する製品やサービスへの関心が高まっている。ルームエアコンにおいては、こうしたニーズに加えて、電気料金の値上げによる家計への負担増加や地球温暖化の進行などによって、より省エネルギーで脱炭素社会に貢献する製品が求められている。

そこで当社は「霧ヶ峰 Zシリーズ」において、人の気持ちを測って空気を整える※1空調「エモコテック※2」をさらに進化させ、快適な体感温度を維持しつつ必要に応じた温度調節を行い、消費電力を抑えた運転を実施することで省エネ性の向上を実現した。また、湿度制御の改善により、安定運転時に発生する湿度上昇を抑制し、温度と湿度のバランスを維持することで快適性と省エネ性の向上を実現した。以下でその特長を紹介する。



  
写真1:表彰される三菱電機株式会社の尋木 保行 上席執行役員
リビング・デジタルメディア事業本部長(写真右)


※1 人の脈を非接触で計測することで脈から人の感情を推定し、温度や気流を制御。使用条件などにより効果は異なり、個人差があります
※2 「emoco-tech(エモコテック)」、emotion conditioning technologyを略した当社造語



2.製品の技術的特徴
■「エモコテック」の進化により、省エネ性が向上
気流が体感温度に与える変化や風あたりの好みを考慮して最適な運転を判断するアルゴリズムを進化させ、気流調節に加えて温度調節にも対応。バイタルセンサー「エモコアイ」が在室者の脈を非接触で測定・解析、快・不快の感情を推定し、風あたりが快適と感じ、冷暖房を弱めても快適性を維持できると判断した場合に、温度を調節し控え目な運転を実施することで省エネ性を向上※3させた。




写真2:風あたりの好みを考慮して      写真3:気流調節に加えて温度調節
 気流調節                を行い省エネに   


※3 2025年度モデルZシリーズ4.0kWクラス。「A.I.自動」設定時。当社環境試験室(14畳)において、外気温:冷房35℃/暖房7℃・設定温度:冷房28℃/暖房23℃で、風あたりが快適と感じ冷暖房を弱めても快適性を維持できると「エモコアイ」が判断した場合と、従来制御とでそれぞれ1時間安定運転した場合の消費電力量比較。気流感「強」が快適と「エモコアイ」が推定した場合:冷房498Wh/暖房655Wh、従来制御:冷房536Wh/ 暖房76Wh。使用環境により効果は異なります


■新たな湿度制御で、高気密・高断熱住宅における快適性と省エネ性を向上
新たな湿度制御の搭載により、設定温度到達後のお部屋の冷やしすぎを抑えるためコンプレッサーを停止させる安定運転時に、エアコン内部の結露した水分が空気中に戻ることで発生する湿度上昇を抑制する。室内機のファン制御を最適化することで、快適な温度と湿度のバランスを保つことが可能となった。外気温の影響が少なく、安定運転の時間が長い傾向にあるZEHを含む高気密・高断熱住宅においても快適性の向上に貢献する。安定運転時に湿度上昇を抑えることで、再度コンプレッサーを立ち上げて運転する際の消費電力を抑制し、省エネ性の向上※4にも貢献する。


      写真4:一般的なエアコンの場合           写真5:新湿度制御


※4 2025年度モデルZシリーズ4.0kWクラス。当社環境試験室(14畳)において、外気温31℃・外気湿度60%・設定温度28℃で安定時1時間運転した場合。体感「入」・「冷房」・風速「自動」設定時。従来制御:84Wh、新湿度制御:79Whの消費電力量比較。使用環境により、効果を発揮できない場合があります


■全容量帯で2027年度省エネ基準をクリア
2022年6月に施行された省エネ法に基づく2027年度を目標年度とする新たな省エネ
基準を、目標年度に先んじて冷房能力2.2kWから9.0kWまでの全容量帯で達成し、高い省エネ性を実現した。


■省資源性:サステナブルへの取り組み
意匠面に配慮しつつ、従来の「ダストボックス」に加えて「はずせるフィルターおそうじメカ」の保持部品にも再生プラスチック材を採用することにより、再生プラスチック材の使用率を最大19.2%※5に向上。


写真6:再生プラスチック材の採用部品


※5 2025年度モデルZシリーズにおいて。自己循環リサイクル材の資源再利用指標(JIS C9911(2014) 電気・電子機器の資源再利用指標などの算定及び表示の方法)に基づく。算定単位:エアコン室内機、資源再利用指数:従来14.0%、今回19.2%(最大)、資源再利用質量:従来1.1kg、今回1.6kg(最大)。調達の状況によって再生プラスチック材の利用率は変動する場合があります


3.おわりに
当社は「人をもっと快適にできるはずだ。」という、三菱ルームエアコン霧ヶ峰が半世紀以上大切にしてきた想いのもと、これからも人を中心とした快適と更なる省エネ性の向上を追求し、事業を通じた社会課題の解決に貢献していく。


以上

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