【製品・ビジネスモデル部門】世界初の水素を燃料とした吸収冷温水機RHDH型 写真1 省エネ大賞表彰式 1.はじめに地球温暖化の原因として考えられている温
2024年度 省エネ大賞
資源エネルギー庁長官賞
三菱重工サーマルシステムズ株式会社
いすゞ自動車株式会社
No.703 2025年3月
環境負荷低減につながる電動冷凍冷蔵車「エルフEV + TEJ35AM」
写真1 表彰式の様子
左:経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 伊藤 禎則様
中:三菱重工サーマルシステムズ 取締役社長 伊藤 喜啓
右:いすゞ自動車 執行役員 能登 秀一
1.開発の背景
食品や医薬品などの温度管理が必要な商品の輸送において、輸送用冷凍ユニットが取り付けられた冷凍冷蔵車は食品流通業界や物流業界で幅広く使用され、食の安全や医薬品の信頼性の確保等に重要な役割を果たしている。
この冷凍冷蔵車について、省エネとCO2排出削減を念頭に電動化普及を推し進めたいと考え、EVトラック「エルフEV」と電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」を組み合わせ、協調して効率よく運転する電動冷凍冷蔵車の開発を行った。
図1 電動冷凍冷蔵車(EVトラック「エルフEV」
+電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」)
2.製品概要
本製品はEVトラック「エルフEV」と、このバッテリーを電源として共有する電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」を組み合わせた電動冷凍冷蔵車及び、トラックの効率的な運用を可能とするコネクテッドソリューションから成り、省エネ、環境負荷の低減、商品の温度管理向上とお客様の作業負荷軽減を達成したものである。
図2:製品構成
図3 いすゞ自動車のEVコネクテッドサービスのイメージ
3.特長
(1) 電力協調
EVトラックと電動式輸送用冷凍ユニットは協調制御により、商品の温度管理を優先して冷凍ユニットを最大限優先的に稼働する電力配分を実施。また万一の異常発生時には、異常内容を識別して、冷凍ユニットの運転継続または車両走行のいずれかを優先することで商品を保護する。
(2) 電動式輸送用冷凍ユニットのヒートポンプ冷凍サイクル採用による高効率運転
電動式輸送用冷凍ユニットは春季や秋季など外気温度が2つの荷室の目標温度の間にある場合や冬季には、低温となる屋外や荷室(冷却室)の蒸発器で汲み上げた熱を、高温の荷室(加温室)の凝縮器で放熱することにより特に高い省エネ性能を発揮する。これらにより輸送用冷凍ユニット単体では、仮定する条件において従来機対比で年間平均18.0%のエネルギー消費を削減する見込みを得た。
図4 春季/秋季の高効率なヒートポンプ冷凍サイクル運転イメージ
(3) 限られた電力を有効に活用
① 車両減速時のエネルギー回生によるバッテリー充電電力の利用により、最大15.4%(仮定条件)の電力改善による効率的な運用を可能にする。
② 電動式輸送用冷凍ユニットは運転開始直後には最大能力で素早い温度調整を実施し、目標温度到達後には高効率運転を実施することで電力を有効に活用する。
図5 電動式輸送用冷凍ユニット「TEJ35AM」
4.省エネ性能と環境保全性能、経済性
仮定する走行パターンでのシミュレーションの結果、本製品は2つの荷室の温度を目標温度近傍に維持し続けながら従来の冷凍冷蔵車対比で、以下のような見込みを得た。
(1) 電動冷凍冷蔵車全体での年間平均エネルギー消費は、21.3%の削減。
(2) 年間平均CO2排出量は、46.1%削減。
(3) 年間エネルギー費用は、42.2%削減。
5.おわりに
三菱重工サーマルシステムズ株式会社といすゞ自動車株式会社は、今後もお客様の声を反映した電動式輸送用冷凍ユニットとEVトラックの性能向上に取り組み、カーボンニュートラルの実現に向け、地球環境と人に優しい製品を開発提供していく。
以上
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