基礎知識

第6章 エアコンと電気

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6.2 電気回路

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(1)電源
 電力会社からの電源供給方法には,単相2線式100V,単相3線式100V/200V,三相3線式200Vなどが一般的です。各々の電源供給方式について各電源の接続,設置方法を図に示します。

<1> 単相2線式100V
 一般家庭用に供給されている方式で,電灯,家庭用電気機器に使用されています。需要側の容量が30A以下に対する供給方式です。

図6.4 単相2線式100V

<2> 単相3線式100V/200V
 大口の需要家向けで,3線式にて100V,200Vの両方を供給する方式で,電灯,家庭用電気機器に使用されています。契約容量が30A以上または,単相200Vの電気機器を使用する場合の供給方式です。

図6.5 単相3線式100V,200V

<3> 三相3線式200V
 この方式は工場などの一般動力用として供給されている方式で,業務用エアコンの大半がこの電源を使用しています。この方式は対地電圧(=大地に対する各線の電圧)が200Vあり,住宅の場合は対地電圧150V以下と決められているため,特別な場合を除いてこの電源は,住宅内で使用できません。

図6.6 単相3線式200V

(2)電源と制御回路
 エアコンに電源を供給し,制御回路を動作させます。冷凍サイクルを構成する圧縮機や四方弁,膨張弁またファン用モータなど各種負荷を動作させるために制御回路が構成されています。
 制御回路上にはマイコンが搭載されており,マイコンに入力されるセンサ,接点,などの情報により,各種負荷の動作を制御します。
 一般的に制御回路は,マイコンへの入出力回路部はDC5Vが使用され,リレーの駆動などにはDC12Vが使用されています。供給された電源を制御回路用の低電圧源(DC5V,DC12V)に変換するには,トランスが使用されます。
 トランスは電磁誘導の法則を利用した,降圧あるいは昇圧を行う部品です。電磁誘導とは,磁界の変化によって導体に起電力が発生することをいいます。トランスでは,1次電線に交流の電流を流すことで,1次電線によりつくられる磁界を変化させます。そのため,2次電線を通る磁力線が変化して,2次電線に起動力が発生します。また,1次側高電圧と2次側低電圧を絶縁する機能を持っています。原理的には,1次側に印加した電圧に対して,巻き回数に比例した電圧が2次側に現れます。
 電力会社から供給された電源をトランスを使用し制御回路用の低電圧源に変換する回路は,一般的に,図6.7に示す構成となります。
 最近は,小型化・電源電圧の変動に対する2次側出力の安定性などから,スイッチング電源を使用して制御回路用の低電圧源を作っているものが主流です。

図6.7 トランス概略図

(3)電源と主回路と制御回路
 電動機や電熱ヒータなど大きな電力を使用する機器を含む回路部を主回路といいます。通常は供給された電圧がそのまま掛かり,電磁接触器(リレー)などで入り切りします。
 電源と主回路,制御回路の概略を四方弁の駆動回路を用いて図6.8に示します。
 四方弁を動作させる場合は,マイコンの出力により電磁接触器(リレー)のコイルへの通電を行い,電磁誘導により電磁接触器(リレー)の接点が切換ることで,電源が四方弁に供給され動作します。逆に,マイコンの出力を停止し電磁接触器(リレー)のコイルへの通電を止めることで,電磁接触器(リレー)の接点が元に戻り,四方弁への電源供給が行われなくなるため,四方弁は不動作状態となります。

マイコン出力 リレーコイル リレー接点 四方弁
ON 通電オン 動作
OFF 通電オフ 不動作
図6.8 電源と主回路,制御回路の概略図

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