基礎知識

第6章 エアコンと電気

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6.3 エアコンの中の電気

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(1)エアコンにおける電気の役割
 エアコンにおける電気の役割とは何でしょう?ご存知のようにエアコンの中には,冷凍サイクルを構成する圧縮機や四方弁,膨張弁またファン用モータなど電気の供給を受けて動作する部品が数多く使用されています。エアコンが機能するには,電気の供給を受け,各部品仕様に合った出力を行い,空調システムとして成立するように制御を行うことが必要です。
 最近,多数のエアコンの制御部(制御基板)にはマイコンが搭載されています。マイコンは,1つの半導体素子(CPU=CentralProcessingUnit:中央処理装置)を指しています。CPUは,制御やデータの計算・加工を行う中枢部分で,メモリに記憶されたプログラムを実行し,入力やメモリからデータを受け取り,演算・加工した上で,記憶や出力を行う機能を持っています。
 マイコンを搭載した制御部を人間の体に例えるならば,「頭脳」に相当します。五感を駆使して入力された情報を処理し,手,足を動かして反応するように,リモコンからの設定情報や,センサ,スイッチなどからの入力信号を受け,これらのデータを処理して,各種負荷(Load)を駆動させる信号を出力します。感覚器官(入力)−頭脳(処理)−手足(出力)を結ぶ「神経」のように,制御信号の情報伝達手段として,あるいは,各種負荷(Load)の駆動源として電気は使用されています。
 制御のイメージを図6.9に示します。

図6.9 単相3線式200V

(2)エアコン内の電気部品
 下記(表6.1及び図6.10)にパッケージエアコンの室内機,室外機で使用されている機能部品の一部を示します。空調機に使用されている電気部品の中にモータが数多く使用されています。

<室内機>
<室外機>
図6.10 単相3線式200V

表6.1 エアコン内の電気部品と機能
 
部品名
空調機内での役割
駆動源
室内機 室内ファン 熱交換器で冷やされたり,暖められたりした空気を室内に送り出す インダクションモータ
PM(パーマネントマグネット)モータ
ルーバー 風向を制御する ステッピングモータ
ドレンポンプ ドレンパンにたまったドレン水を排出する インダクションモータ
パネル昇降機 天井パネルを下ろしたり,機器内に収納する ギヤードモータ
電気集塵機 吸込んだ埃を帯電させた後,吸着除却する 高電圧発生電源
室外機 コンプレッサ 冷凍サイクル内に冷媒ガスを送り出す インダクションモータ
PM(パーマネントマグネット)モータ
室外ファン 熱交換に必要な空気を吸込み,送り出す インダクションモータ
PM(パーマネントマグネット)モータ
四方弁 冷房時と暖房時の冷媒の流れを変える 電磁コイル
電子膨張弁 冷媒の流量を制御する ステッピングモータ

[担当:古結勝美]

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