このたび、資源エネルギー庁長官賞を、当工業会会員の三菱重工サーマルシステムズ株式会社が受賞しましたので、その詳細についてご紹介します。[製品・ビジネ
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No.650 2017年4月
HVACRインダストリー・アライアンスは北米冷凍空調産業の統一した見解を表明するため10年ほど前に、メーカー、設備業者、流通業者、学会など11の団体により設立された。米国空調設備協会(ACCA)のポール・ストールネット会長が議長を務めている。
200万人以上の雇用をもつアライアンスのメンバーはトランプ政権に、経済、税制、環境、およびエネルギーへの支援を求めており、これによりアメリカの世界的な競争力を強化し、同時に経済成長とバランスのとれた規制を実施しようとしている。
■ モントリオール議定書キガリ改正の批准
アライアンスがトランプ政権に求める優先順位の高いものの中にモントリオール議定書キガリ改正の批准がある。2016年10月にルワンダのキガリでHFCの生産および消費の段階的削減が採択された。先進国は2019年からHFCの段階的削減を開始し、すべての国が2040年代の後半には消費量が基準値の15~20%とする。
「アライアンスはキガリ改正の上院での批准を強く求めており、上院議員に対して製造業者がHFCに対して取っている方向に同調するよう要請している。もし批准されないと米国の製造業者の製品はキガリ改正を批准した国々では販売することができないであろう。これは製造業と雇用に対して壊滅的な打撃となる」とグループは述べている。
アライアンスのメンバーである暖房空調冷凍販売インターナショナル(HARDI)のタルボット・ジーCEOは、「我々はトランプ大統領および議会と連携して、冷凍空調産業が今日成長することだけを目指すのではなく、作業者や技術に投資することにより21世紀を通じて成長することを目標にしている。今回はまたとない機会である」と述べている。
アライアンスのポール・ストールネット議長は、「アライアンスは結束することを第一とし、そのうえでそれぞれの団体の知恵を持ち寄った。それぞれの団体はそれぞれの優先課題があるが、一致してトランプ政権に業界全体が直面している問題について要望をだした。集団として我々は皆最終的には業務用および家庭用の消費者を守るような分別のある方針を実行する」と語った。
冷凍空調工業会(AHRI)のステファン・ユーレクCEOは「冷凍空調や給湯の機器メーカーは、米国民と世界の人々のために、革新的で、製品寿命が長く、安全で、生産性の高い製品を生産してきた。これには長い歴史がある。我々産業界がここに主唱する考え方は、税制についてはより現実的な取り組みをしようとするものであり、規制についてはよりバランスのとれたものとすることである。これまでの規制は消費者と産業界にコストを強いており、改善する必要がある」と述べている。
米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)のティム・ウェンツ会長は、「米国ではビルのエネルギー消費がすべてのエネルギー消費の40%を占めている。ビルの影響を緩和するために我々の業界は緊急に努力しなければならない」と語っている。その他優先的に見直すべきものは以下となっている。
■ 税制改正と高効率機器の普及促進
高効率機器の普及促進は市場に委ねること。税制では原価償却を実際の製品寿命を反映したものとし、高効率機器においては、設置と保守の品質レベルを高めること。一方で加速償却を許容すること。
■ エネルギー法とエネルギー方針節約法(EPCA)改正
エネルギー法とEPCAに現在の技術を反映する。これにより米国の冷凍空調産業界が、技術革新、雇用創出および高効率機器の生産において、世界のリーダーとなる。
■ 良好な施工についての教育とインセンティブ
機器は適切に据付されないと本来の性能を発揮することができない。教育と良好な施工に対してはインセンティブを与え、これにより設計当初の高い効率を維持する。
■ 高いスキルを持つ労働力の確保
現在および将来の労働力の不足に備えて、HVACRにおける訓練と教育に対する政府の支援を要請する。