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第5章 エアコンの選定 |
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5.2 空調機の大きさの選定と冷暖房負荷計算 |
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(1) 空調機の大きさの選定と冷暖房負荷計算の関係
部屋を空調するということは,その部屋の温・湿度を一定の値にするということですから,その空調された部屋とそれに隣接した(空調されていない)部屋や外気との間に温度差ができるということになります。温度差ができればそこに熱の移動が出てきます。熱の移動以外にも太陽による日射や在室の人による熱の発散,照明や事務機器などの機器の発熱,外気の侵入等によって室温が変化します。空調する部屋の温・湿度を一定にしようとすれば,これらの熱移動分と発生熱を除去しなければなりません。それらの熱量を「冷暖房熱負荷」あるいは「空調熱負荷」と呼んでいます。そしてこの熱量を計算によって求めようとするのが「冷暖房負荷計算(又は空調負荷計算)」です。
そして部屋の温・湿度を一定にするには,冷暖房負荷計算によって求められた全熱量を,エアコンによって除去(冷房)あるいは加えて(暖房)やれば良いということになりますから,この全熱量を満足する冷暖房能力を持ったエアコンを選定すればよいことになります。
(2) 負荷に関連する用語
空調熱負荷を扱う場合に,いろいろな「○○負荷」という言葉を使います。これらの用語について解説します。
1) 冷房負荷と暖房負荷
2) 顕熱負荷,潜熱負荷と全熱負荷
(3) 冷房負荷のいろいろ
冷房負荷には次のようなものがあります。
図5.1 冷房負荷のいろいろ
(4) 暖房負荷のいろいろ
暖房負荷には次のようなものがあります。
(注) | 暖房負荷と冷房負荷を較べますと,暖房負荷には太陽の輻射による熱と室内で発生する熱が入っていません。これらの熱は暖房にとってプラス側に働きますが,いずれも確実性がありませんので一般的には暖房負荷計算には入れません。 |
図5.2 暖房負荷のいろいろ
(5) 冷暖房負荷計算における変動要素
冷暖房計画をするに当たって先ず冷暖房負荷計算をしますが,この時,外気の温湿度条件が熱負荷に大きく関係します。そして,この外気条件は次の項目によって変化します。
すなわち,同じ地域でも季節,時刻,建物の位置関係によって負荷は変わります。
(6) 冷暖房負荷計算法の種類
冷暖房負荷計算法には,表5.1に示すように定常法・周期定常法・非定常法の三つの手法があります。これらの手法は,計算目的に応じて次のように使用されています。
表5.1 空調熱負荷計算法の種類計算法の概要 | 特長 | |
定常法 | 外気及び室内条件を1日中まったく一定として空調負荷を求めるもので,建築構造体の蓄熱効果などは考慮していません。 | 冷房時と暖房時の最大熱負荷を計算することができ,空調機の機種選定に使われます。 |
周期定常法 | 外気条件の温湿度及び日射量を,一日を周期として毎日繰り返すものとし,室内条件は一日を通じて一定として毎時間の負荷を計算します。 | 定常法と同様ですが,多室を1台の空調機で空調する場合などはより適切な機種選定をすることが出来ます。 |
非定常法 | 外気条件に平均年標準気象データを使って計算するもので,毎日各時間の刻々と変化する空調負荷を求めることが出来ます。 | ある期間又は年間の負荷を集計することが出来,空調機器の運転状態を併せてシミュレーションすることにより,エネルギー消費量を予測することが出来ます。 |
1) | 機種選定のための最大熱負荷を求める場合には,定常法又は周期定常法 |
2) | エネルギーコスト算出のための年間負荷あるいは期間負荷を求める場合には,非定常法 |
本章では,定常法の中の面積法(概算法,目安法)と簡易計算法について説明します。