海外短信

No.649 2017年2月

“冷房技術の劇的な変革が必要” 欧州ユーレカ会議2016での結論
 “将来世代のニーズに適合するために冷房産業は技術の劇的な変化を遂げる必要がある”これが2016年12月13日、オランダのハーグで開催された欧州ユーレカ会議2016での結論となった。欧州ユーレカ2016は欧州の冷房と換気の団体であるEPEEとEVIAが将来の冷凍空調の在り方を討論したもので、産業界、学会、政治団体、市民団体などから120名以上が参加した。20年後から30年後の冷房を次のように予測している。

欧州ユーレカ会議2016

              • 利便性の向上:一例としてコンビニエンス・ストアから冷蔵庫は姿を消し冷凍食品は宅配になる。
              • 快適性の普及:世界中どこでも冷房が可能となる。
              • コストの低下:発展途上国でも適切な冷房技術を手に入れ、冷房は贅沢品ではなくなる。 気候変動への対応:冷媒のリサイクルやリユースが重要となり自然冷媒に対する需要も増大する。
              • 共同作業の増加:地球規模の問題の解決には、特に発展途上国との共同作業が必要となる。その他将来の循環型社会では機器は所有からリースへと変化するであろうことが認識された。
              • 〔RAC, January 2017〕

米国“新設チラーでHFCは2024年1月から使用禁止”EPAの決定にAHRIは大きく失望

 新設チラーでのR134a、R410A、およびR407CのHFC冷媒の使用が2024年1月1日から禁止となった。米国冷凍空調工業会(AHRI)は禁止時期を2025年1月1日からと要望していたが、米国環境保護庁(EPA)のSNAPプログラムでは受け入れられなかった。
 AHRIと自然資源防衛協議会(NRDC)は代替冷媒の安全性確保、システム効率の改善、製品開発期間の確保、および市場移転の回避をするために禁止時期は2025年とするようにEPAに要望していた。しかしEPAは実施時期の延期を許諾しなかった。
 AHRIのユーレク会長は「EPAには大変失望した。産業界と消費者に与える影響を考慮していない。禁止時期を1年早めたところで環境保護に対する効果は微々たるものだ。しかし産業界の経済的な負担は大きい」と述べている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News November 7, 2016〕

米国 R22のフェーズアウトとHFC規制で設備業者はジレンマに陥る
 R22のフェーズアウトに向けて米国では冷媒転換が急ピッチで進められている。設備業者は冷媒の入れ替えと同時にEPAによるHFC規制への適応も図らなくてはならない。用途によっては代替となるHFCが既に使用禁止となっている。現在は使用可能でも将来は禁止となっている冷媒もあり、設備業者は代替冷媒の選択に神経質になっている。

 

 米国におけるR404AおよびR507Aなどの使用禁止時期

用途

禁止時期

スーパーマーケット・システム (レトロフィット)

2016.7.20

スーパーマーケット・システム (新規)

2017.1.1

リモート・コンデンシング・ユニット (レトロフィット)

2016.7.20

リモート・コンデンシング・ユニット (新規)

2018.1.1

スタンド・アローン・ユニット (レトロフィット)

2016.7.20

スタンド・アローン・ユニット

(新規)

中温ユニット、2,200Btu/h未満、満液式蒸発器でないもの

2019.1.1

中温ユニット、2,200Btu/h以上、満液式蒸発器を付属するもの

2020.1.1

低温ユニット

2020.1.1

ベンディング・マシーン (レトロフィット)

2016.7.20

ベンディング・マシーン (新規)

2019.1.1

〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News November 7, 2016〕

欧州のスーパーマーケット 2020年までに低GWP冷媒への入れ替えが進む見通し
 ハネウェルはスペインのスーパーマーケット マクロ(Makro)の冷凍システムでR404AをソルスティスN40に入れ替えた。スペインではGWPに応じて冷媒に課税されている。N40はGWPが1,273でありR404Aより68%小さい。HFOのブレンドであり、中温の冷蔵装置でR404Aよりも5~16%エネルギー消費量も少ない。
 ハネウェルは「2020年までこれから数年間、特に欧州のスーパーマーケットでR404Aの代替としてN40の伸長が期待される」と述べている。
〔JARN, December 25, 2016〕

EPA 新たな住宅用エネルギー・スター・プログラムを発表
据付も含めた全体を評価
 EPAが住宅での新たなエネルギー・スター・プログラムを発表した。これは“エネルギー・スター認証HVAC設備施工(ESVI:Energy Star Verified HVAC Installation)”と呼ばれるもので、住宅でのエネルギー効率を最大にするために、機器の最適な選定、ダクトのシール工事、適正な風量、適正な冷媒充てん量に評価の重点を置いており、設置後に第三者が性能検証を行い認証される。
 「これまで多くのHVACプログラムは機器の銘版に記されている効率のみに着目し、ダクトシールなど据え付けにおける評価が見落とされてきた。新たなプログラムではこの欠点を改善し、据え付けを含めたHVACシステム全体で評価する。適切な据え付けがエネルギー効率の向上に重要な役割を果たしている」とESVIのナショナル・プログラム・マネージャのチャンドラー・フォン・シュレーダー氏は述べている。
〔Air Conditioning, Heating and Refrigeration News November 7, 2016〕

中国 原材料が値上がり エアコンにも影響
 世界最大のエアコン市場でありまた生産地でもある中国広東省で原材料が値上がりしている。2015年11月から2016年11月までの1年間で鉄、銅、アルミの価格が20%上昇した。エアコンの製造業者も原材料値上がりへの対処に追われており、早ければ2016年の末にでも販売店でのエアコンの値上げが予測されている。
 しかし合理的な値上げ率を決めるのは難しい状況だ。原材料の値上がりがいつまで続くのか見通しがつかない。現時点では中国のエアコンメーカーは生産を続けながら原材料市場を注意深く見ている。あるエアコンメーカーでは材料費のアップを吸収するために新製品や高級品への生産シフトを計画している。
 原材料の値上がりのほかに、労働力不足、賃金上昇、人民元の価値低下も問題を複雑にしている。人民元はドルに対して2015年12月1日には6.40人民元であったが、2016年12月1日には6.89人民元と7.7%低下している。ある中国の大手エアコンメーカーは2017年にエアコンの価格を上げるものと予測されている。
〔JARN, December 25, 2016〕

ドバイでビル建設に関連した展示会が開催
 ビッグ5 インターナショナル・ビルディング・アンド・コンストラクション・ショーが11月21日から24日までアラブ首長国連邦のドバイで開催された。約7万5千人が来場し、3,100社以上の出展者がビル建設に関連した製品やサービスを展示した。この地域は世界で最も魅力的な建設市場となっている。今年はフランス、イタリア、ブラジルも自国のパビリオンを出展した。
 展示品目はビッグ5と称して、ビルのインテリア、機械・電気設備・配管などのサービス、ビルの外装、建設工具と建材、スマートビル設計の5分野であり空調機器も展示された。
 ドバイはこの地域の新たな建設ブームの牽引者となっており、2016年は建設プロジェクトが3,907億ドル(約43兆8千億円)と記録的な数値に達するものと期待されており、石油価格の低迷にもかかわらず、この内の13.7%、535億ドル(約6兆円)の計画が進捗している。
〔JARN, December 25, 2016〕

テヘランで国際冷凍空調展が開催されるイランは有望市場とみて中国から77社が出展
 第15回国際冷凍空調展が2016年10月18日から21日までイランのテヘランで開催された。600社以上が出展し、海外からはカナダ、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国など30か国、148ブランドが展示された。
 2016年1月にイランに対する経済制裁は解除されたが、経済回復には時間を要している。しかしイランは8,000万人の人口を擁し若年世代の人口構成比率が高い。夏は暑いためエアコンの潜在需要が大きい。
 中国からは77社が出展した。2015年に中国とイランは自由貿易協定を締結しており、イランから中国への送金も自由となっている。中国のエアコンメーカーはイランのエアコン市場を有望なものとみている。
〔JARN, December 25, 2016〕